2006 Fiscal Year Annual Research Report
12-13世紀夢文学とその創作基調を成す聖書思想との比較研究
Project/Area Number |
17520216
|
Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
壬生 正博 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (30249784)
|
Keywords | 英米文学 / 異界研究 / 中世夢文学 / 聖書 / 写本図像 |
Research Abstract |
1)テクスト読解と研究資料の収集・整理 夢文学のテクスト読解、並びに聖書聖典、外典、偽典等の現代英語訳テクスト、更に、関連研究書等を入手した。また、国内の図書館等へ赴き当該研究に必要な資料を閲覧及び入手した。中英語テクストは、語注やグロッサリーを利用しながら読解を進めながら、その他の研究資料を分類・整理した。 2)聖書聖典における夢と幻の考察 聖書聖典について、夢文学の異界描写と関連のあると思われる箇所の一覧表を作成し、聖書聖典中の夢と幻の具体例を挙げながら、夢文学との関連性を考察した。考察によって示唆されたのは、旧約聖書では、創世記やイザヤ書やエゼキエル書などの大預言書との関連性が強いことである。新約聖書では、特にヨハネ黙示録の新しいエルサレムが夢文学の楽園描写に多大の影響を及ぼしたのではないかと思われる。 3)異界要素一覧表の作成 異界夢文学の作品群、聖書の書物群の比較対象一覧表を、異界要素(主に楽園描写に付随する天使・建造物、橋、川など)を中心に昨年度と同様に継続して作成している。現在、12世紀の代表的な夢文学The Revelation of the Monk of Eynshamの中英語翻訳テクストを基に異界要素の一覧表を作成中である。各作品の異界要素一覧表を作成するにつれて、作品ごとに楽園描写に特徴があり、作者の意図が反映されていることが明らかになってきた。研究成果をまとめて来年度は、日本中世英語英文学会、比較思想学会等で発表する予定である。
|
Research Products
(3 results)