2005 Fiscal Year Annual Research Report
中国広西の鍾乳洞内に現存する古代墨書跡の資料化とその総合的研究
Project/Area Number |
17520231
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
戸崎 哲彦 島根大学, 法文学部, 教授 (40183876)
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Keywords | 桂林 / 古代墨書跡 / 摩崖石刻 / 大岩 / 芦笛岩 |
Research Abstract |
1、文献研究。(1)中国江西の鍾乳洞内に現存する墨書跡は主に桂林に集中しているため、現地桂林に赴いて鍾乳洞内の墨書跡に関する、当地の研究者による研究文献等の資料を収集し、今日までの研究状態と問題点を掌握した。(2)調査・研究対象である鍾乳洞に関する古今の方志を含む歴史地理書等を収集し、洞・山および周辺の地理とその変遷についての知見を得た。 古代墨書跡の存在する鍾乳洞は桂林に芦笛岩・大岩等複数あるが、今年度は大岩(巖)に重点を置いて調和・研究を行った。 2、現地調査。(1)現地に赴いて洞内に入って調査を行い、洞内約1kmまでに現存する墨書跡の画像約800枚を撮り、基本資料を作成した。(2)大岩の洞内およびその周辺を方位・距離等を測量し、地図作製のための基本資料を得た。 3、墨書跡の解読。今回の調査で得た墨書跡の画像を処理し、解読を開始した。その中には少数民族の反乱・王朝の交代に関する歴史上および俗字・異体字等文字学上、貴重な資料を提供するものがあることが既にわかった。 4、地図の作製。大岩の洞内外およびその周辺の地図を測量資料によって作成した。 今年度の調査と現時点での解読・考証研究によれば、大岩内に現存する墨書跡は少なくとも約130点はあると推測される。現地における先行の調査・研究で発見・確認されているものは僅か93点に過ぎない。また、今回の現地調査の過程で、従来調査されている洞の他に、洞内で分岐している別の一洞を発見した。その内にも墨書跡が存在している可能性が極めて高い。来年度はこの洞内に入って調査を行う予定である。その新たな調査とすべての解読結果を待たねば精確な数量は示せないが、従来知られている数量を相当(5割以上)上回る墨書跡の新発見が期待される。
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