2006 Fiscal Year Annual Research Report
中国広西の鍾乳洞内に現存する古代墨書跡の資料化とその総合的研究
Project/Area Number |
17520231
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
戸崎 哲彦 島根大学, 法文学部, 教授 (40183876)
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Keywords | 史料学 / 明清 / 鍾乳洞 / 墨書跡 / 壁書 / 桂林 / 『桂海虞衝志』 |
Research Abstract |
本年度は先の研究実施計画に基づいて以下の過程によって行なった。 1、文献研究:墨書跡の現存する芦笛岩・大岩に関する、『桂林市志』・『桂林旅瀞資源』等90年代刊行の公的文献および70年代の調査による『芦笛岩大岩壁書』の記載の整理と比較検討を行い、とりわけ大岩の地図において相当の相違が見られること、また90年代の地図では同山に芦笛岩・大岩以外にも鍾乳洞が存在することを知り、新たに現地調査を行なう必要が生じた。 2、現地調査:主に大岩において70年代と90年代の地図に基づいて行い、その結果、90年代のものが基本的に正確であること、ただし若干の修正が必要であること、また不明な箇所があるという知見を得た。同時に、今回の現地調査で先行の調査・研究で確認されておらず、また昨年度の調査でも発見するに至らなかった墨書跡三点を発見した。 3、地図の作成:衛星写真によって芦笛岩・大岩の位置およびその周辺を示す地図を作成した。洞内については更なる調査とそれによる90年代資料との比較と修正が必要である。 4、墨書跡の解読:墨書跡の画像約1000枚のデジタル化・画像処理とそれによる解読の作業を継続した。また、今回新たに発見した墨書跡についても同様の作業に着手し、いずれも明代の作であることが判明した。 以上の調査研究により、芦笛岩に現存するものは大半が浸食・風化されてすでに正確な判読は困難な状態にあるが、官吏・僧侶の作が多いのに対して、大岩に関してはその大半が判読可能であり、多くが山下にある村の住民の手による明・清のものであるという仮説を提示することができる。また、時間的な変化・特徴を考察すべく、年表の作成に着手する一方、桂林の岩洞開発史の基本史料である萢成大『桂海虞衡志』の研究も開始した。なお、本研究に関連する成果の一部は中国四国中国学会で発表し、広西師範大学文学院で講演した。
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Research Products
(2 results)