2008 Fiscal Year Annual Research Report
環大西洋圏における表現媒体と修辞法を中心とした文化のインターフェイス研究
Project/Area Number |
17520235
|
Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
梶原 克教 Aichi Prefectural University, 文学部, 准教授 (90315862)
|
Keywords | カリブ海地域 / 文化論 / ポストコロニアリズム / トリニダード:シャマイカ / 国際情報交換 / 修辞法 / 表現媒体 / 行為遂行性 |
Research Abstract |
本年度の研究は、(1)「パースの記号論」および「オートポエーシス」の問題を研究課題に即して考察し、環大西洋の移民文化の問題と関係づけ、(2)国際学会で発表をおこない、(3)今後の研究のための資料を収集する、という3点を主な目的としていた。(1)パースの記号論は「指標性」が問題とされるという点で、環大西洋文化における「形体的」修辞と関係があり、その意味において、従来のポストコロニアル研究の一つの土台となっていたソシュール的記号論から派生する批評理論と違う視点での考察が可能になり、今後の展望への糸口を掴むことができた。いっぽうオートポエーシスについては、「自己と境界の問題」「心的システム、社会システム、身体システム」など、本研究に関連すると思われる概念の大まかな把握までしか理解が至らなかった。実際の環大西洋文化理解につなげることが、今後の課題となる。(2)「研究発表」の項に記しているとおり、カメルーンのブイア大学でおこなわれた国際学会に参加し、研究発表をおこなった。本学会は従来カリブ海文化研究を中心としたものであったが、本年度はあらたなステップとして、アフリカン・ディアスポラという観点からカリブ海文化研究にアプローチする大会と位置づけられ、アフリカで開催された。それゆえ、「環大西洋」という本研究課題のテーマに合致した研究発表で、アフリカ側からの視点を知ることができた点で、きわめて有益であった。(3)資料収集のため、バルバドスの西インド諸島大学ケイヴ・ヒル校の「ウェスト・インディーズ・コレクション」を閲覧し、複写をおこなった。以前資料収集した同大学モナ校ほど多くの資料はなかったが、モナ校で紛失していた雑誌のバックナンバーが見つかるなど、一定の成果を得ることができた。
|
Research Products
(3 results)