2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17520239
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
鱒澤 彰夫 日本大学, 工学部, 助教授 (50238903)
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Keywords | 文献学 / 出版 / 目録 / 文化大革命 / 紅衛兵 / 内部 |
Research Abstract |
本研究は、中国現代出版史上の空白(文革期の出版)を埋める研究であるとともに、文革の基礎的研究である。本研究は、本研究者による「紅衛兵出版物の研究」の継続であり、その補完である。前研究では、活版印刷新聞・雑誌を対象とし、その成果を『紅衛兵新聞目録』(平成17年3月不二出版刊)、『中国無産階級文化大革命時期紅衛兵活版雑誌目録稿』(平成17年3月科研費特定領域「東アジア出版文化の研究」B班研究報告所載)に公表した。現代中国の出版は、「内部」、「外部」の2つに区分され、この区分は、中国共産党の発展とその組織形態、即ち、秘密性と情報管理に照応するものである。そして、前研究対象の新聞・雑誌は、紅衛兵組織の対外刊行物であり、「外部」向け出版物である。本研究では、刻字油印の「内部通信」、資料パンフレットという紅衛兵組織の内部刊行物を対象としている。また、ビラも研究対象としたのは、それが内容的には虚実取り混ぜたものであるが故に、後の「資料集」に掲載されにくく、むしろ文革期の実相を伝えうる貴重な資料群であるからである。本研究の対象とする「内部通信」、「資料パンフレット」、「ビラ」は、前研究の「新聞・雑誌」に比して、更に系統的に整理されてこなかった。それ故、本研究は、文革研究の基礎と位置づけられるばかりではなく、前研究の成果と併せることによって、はじめて文革期の出版状況を総合的に把握しうるのである。 平成17年度は、原資料の収集・複写に努め、書誌事項の補助とすべく、台湾・香港地区での資料収集状況・研究状況を反映した諸資料の収集にも努めた。また、定期刊行物の「内部通信」は、『紅衛兵新聞目録』、資料パンフレットは、『紅衛兵活版雑誌目録稿』にそれぞれ従い、ビラは、時間順に配することとし、全体の10%程度の著録を終えた。
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