2006 Fiscal Year Annual Research Report
〓敬の音韻研究について-『毛詩原解』の音注の分析を中心とした研究-
Project/Area Number |
17520267
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
富平 美波 山口大学, 人文学部, 教授 (00188799)
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Keywords | 中国語学 / 音韻 / 古音学 / 明代 / 〓敬 / 毛詩原解 |
Research Abstract |
I.〓敬著『毛詩原解』明刊本に見られる音注の整理・分析のための第2段階の作業として、昨年度の成果として得られた各種資料を電子ファイル化する作業を行った(下記の1〜4)。 1.王力著『詩経韻読』(1980上海古籍出版社)が認定する『詩経』の全押韻例(韻部毎に分類して『広韻』及び『《詩経》古今音手冊』(1988南開大学出版社刊)が掲載する中古音を注記したもの)と、『毛詩原解』の音注(『広韻』の中古音を注記)との対照表の、入力作業を行った。 2.その際、詩編や詩句中での字の位置や音注の表す音から見て、『毛詩原解』が押韻字と認めている可能性のある文字については、王力の29韻部及び各種通韻・合韻のそれぞれについて、『詩経韻読』の押韻との対照表を作成し、また、『詩経韻読』で無韻の部分にあたる場合は、別に、被注字と音注だけの表を作成した。 3.更に、『毛詩原解』においても非押韻字と見なされているらしい字に対して音注がある場合、それらは一括して、『《詩経》古今音手冊』の掲載順(現代音のピンイン順)に配列、被注字と音注(いずれも中古音を注記)の対照表を作成した。 4.その他、下記のような資料の入力を行った。 (1)『毛詩原解』の音注の一覧表(登場順):使用した3種類のテキストにおける文字の異同を注記したもの。 (2)総論的性格をもつ『談経』の「毛詩」の条及び『毛詩原解』巻首の「読詩」の抜粋:テキストによる異同を注記したもの。 II.上記の2の後半部分の作業の結果、『詩経韻読』において無韻と見なされている部分について、『毛詩原解』が押韻の存在を認めている場合、その音注には、〓敬の古音及び『詩経』の押韻技法についての見解がきわだって反映していると考えられたため、その特徴をまとめ、雑誌掲載論文として発表した。
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Research Products
(1 results)