2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17520269
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
坂本 勉 九州大学, 人文科学研究院, 教授 (10215650)
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Keywords | 文理解 / 事象関連電位 / メタ認知能力 / 意図の伝達 |
Research Abstract |
平成18年度は、言語コミュニケーションを主とする論文集の編集・出版を行った。日本学術振興会の助成を受けて、平成17年2月12・13、「意図の伝達スキル(Communicating Skills of Intention)」という国際シンポジウムが開催された。論文集の内容は、このシンポに参加し、発表した26名の論文を収録したものである。しかし、ただ単に26本の論文を集めただけのものではない。それぞれが、上記の国際シンポにおける活発な議論の結果を反映したものとなっている。さらに、メタ認知という概念が全体を統括する基本概念となっている。様々な分野の多様な研究者による具体的な研究成果は、以下の5つの内容にまとめられる。第1章:メタ認知能力を用いた、統合失調症のリハビリの具体的な実践例。第2章:失語症のリハビリには、様々なメタ認知能力同士の協同が重要である。第3章:無意識に行うジェスチャーが言語的認知活動と密接に連動している。第4章:様々な状況でのコミュニケーションの場において、メタ認知的能力が必要である。第5章:事象関連電位(脳波)などを用いることによって、ミリ秒の単位で言語認知のプロセスが明らかになる。 本研究課題によって今年度に行われた研究の成果は、上記論文集の第5章などに掲載されている。まず、日本語の格助詞と動詞との不整合(*太郎が花子を会う)が形態統語的逸脱を示す事象県連電位(LAN, N400-like negativity, P600)と何らかの連関が認められるという実験結果が得られた。また、遊離助数詞(太郎が3冊近所のコンビニで雑誌を買った)が要素の統合を示すP600と関連している事や袋小路文の再分析においてもP600と考えられる成分の出現が観察された。
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Research Products
(7 results)