2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17520269
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
坂本 勉 Kyushu University, 人文科学研究院, 教授 (10215650)
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Keywords | 事象関連電位 / 数量詞 / 共感覚表現 / 文理解 / 空主語 |
Research Abstract |
本研究では、事象関連電位(ERP)を用いることにより、文理解が時間の経過とともにどのようなプロセスをたどっていくのかを検討した。特に、「数量詞と名詞との一致・不一致現象」を詳細に観察する事により、文理解に齢ける情報の保持・統合などのプロセスを明らかにした。また、共感覚表現の理解プロセスが脳内でどのように行われているのかに関する研究を分担執筆の形で発表した。こうした一連の研究により、文理解に伴って生じる様々な現象が人間の脳内の神経生理学的な現象とどのように結びついているのかを明らかにしていくための手がかりの一端が得られた。最近の脳科学研究の進展に伴って、文理解に関する研究は新しい局面を迎えようとしている。文理解に関しては、欧米を中心に言語学・心理学それぞれの分野での研究はかなり進んでいるが、日本語に関して、両分野を視野にいれた統合的研究はいまだに十分にはなされていないのが現状である。さらにまた、本研究では、中国語における「空主語文の理解」というトピックを取り上げた。空主語の問題は、研究代表者が日本語において取り組んできたものであり、それを中国語を対象として、通言語的に考察したものである。こうした研究は、言語学上の理論的枠組みに心理学的な裏付けを持った研究であり、「言語とは何か」を問うことにより「人間とは何か」を知るためには、今後もこうした着実な実証研究と理論的裏付けをもった研究が進展して行くことが必要であろう。
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Research Products
(9 results)