2006 Fiscal Year Annual Research Report
日本語不連続依存文処理の実験心理学的考察を通した統語的知識の領域固有性の検証
Project/Area Number |
17520275
|
Research Institution | Mejiro Univesity |
Principal Investigator |
時本 真吾 目白大学, 外国語学部, 助教授 (00291849)
|
Keywords | 心理言語学 / 韻律 / 領域固有性 / 統語的知識 / 文法性判断 / 認知科学 |
Research Abstract |
言語理論の一般においては音韻・統語知識それぞれに領域固有性を仮定する.統語的現象は,例えば英語の主語名詞句の音韻特性が主語の格形態や一致する動詞の屈折に影響を与えない等,音的制約から独立していると考えられてきた.しかし,実発話においては韻律が文内の依存関係構築を促進し,ある場合には曖昧性を解消することが頻繁だし,近年の研究は黙読時にも文の潜在的韻律特性が解釈に選好性を与えることを明らかにしている.本研究は主に形式統語論の関心事であった不連続存在を,実発話の解析ならびに合成音声の聴覚提示によって実験心理学的に考察し,統語的知識の領域固有性を学際的に検証するものである. 昨年度は(1)に例を示す日本語不連続依存文の実発話を録音し,その韻律特性の解析と一般化を行った. (1)a.基本語順文 哲夫は[香織が 子猫を 拾った]と 友達に しゃべった。 b.不連続依存文 子猫を 哲夫は[香織が 拾った]と 友達に しゃべった。 本年度については(1b)に特徴的な韻律特性を操作した合成音声を聴覚提示し,名詞補文(2),関係節(3),副詞的付加詞節(4)について文法性判断を問う実験を行った. (2)家業を 坪井は[竹田が 継いだ]朗報に ほほえんだ。 (3)忍耐力を 増田は[中野が 養った]陸上部に 入部した。 (4)脚を 哲夫は[美幸が 骨折した]とき 病院に 連絡した。 操作した韻律特性は文頭の従属節目的語のピッチと文頭3文節間のポーズ長である.実験の結果,韻律特性の有無と文法性判断間に相関が認められた.実験結果は第71回の日本心理学会大会で発表する予定である.また,和文論文1本,英文論文2本が国内外の学術誌で審査中である.
|
Research Products
(2 results)