2007 Fiscal Year Annual Research Report
生成文法理論の極小プログラムにおける第一言語獲得の実証的研究
Project/Area Number |
17520281
|
Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
原田 かづ子 Kinjo Gakuin University, 文学部, 教授 (60156502)
|
Keywords | 生成文法理論 / 極小プログラム / 第一言語獲得 / 統語発達 |
Research Abstract |
本研究は、原理とパラメータの理論に基づいた研究であるが、本年度も昨年度同様、研究目的4点のうち、次の2点に重点を置いて研究を進めた。まず、極小プログラムに基づき、派生のコストの概念を言語獲得の観点から明確にする。次に、特定の語彙項目の諸特性が「いつ」「どのように」獲得されるのか明らかにする。具体的には、以下の4点について成果をあげることができた。 1.日本語関係節と英語関係節の縦断的および実験的研究の比較考察を通じ、極小プログラムにおける派生のコストの概念を詳細に検討した。具体的には、従来、一言語内においてのみ妥当とされていた派生のコストを、複数の言語において比較する可能性について検討した。派生の出発点となる同一「算えあげ(Numeration)」の条件を音声面に関して緩和することにより可能であると結論づけた。その内容は、論文にまとめ公刊した。 2.日本語を母語とする男児2名(2;0-3;11および3;2-4;11)と女児1名(2;2-3;1)の縦断的データより名詞修飾表現を整理し、公開した。 3.日本語を母語とする男児2名(2;0-3;11および3;2-4;11)と女児1名(1;4-3;1)の縦断的データに関して、難易形態素、感覚形態素、可能形態素、使役形態素を含む発話を取り出し、上昇構文かコントロール構文かという観点を中心に理論的考察を進行させている。 4.2007年5月より新たに日本女児1名のデータを月1回1時間収集した。また、母親の協力により、日時を決めず、子どもがよくしゃべっている機会をとらえて録音してもらい、1ヶ月に累計1時間程度のデータを収集した。今年度3月末までに11セッション(2;3-3;1)のデータを採集、9セッション分は、文字化およびコンピュータへの打ち込みを終了した。
|
Research Products
(1 results)