2007 Fiscal Year Annual Research Report
『今昔物語集』のKWIC作成の原理的問題とその意味・文法論的利用の可能性
Project/Area Number |
17520293
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 泰 The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (70091832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 久雄 同志社大学, 文学部, 教授 (70124188)
宮島 達夫 京都橘大学, 文学部, 名誉教授 (30099915)
安部 清哉 学習院大学, 文学部, 教授 (80184216)
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Keywords | 今昔物語集 / KWIC / 計量 |
Research Abstract |
『今昔物語集』のKWICを作成するためのテキストの整備を全巻についておえることができた。そのなかで巻24については、サンプル的にKWICを作成し、そこで生じた以下のようなKWIC作成上の諸問題を検討した。 1 KWICにおいて、複合語を中心としてキーワードが単位として、適切であるかどうか検査し、問題があるものについて、修正をはかった。 2 キーワードの前後の文脈の長さや、所在の指定などが適切であるかどうか検査し、KWICのデザインを定めた。 以上のような点について処理をおえたのち、全巻にわたるKWICの作成をこころみ、『今昔物語集』の語彙、意味、文法論的な特徴について検討をくわえた結果、以下のような知見を得た。 3 天竺・震旦・本朝各部から計量的手法によってとりだした特徴語彙に『分類語彙表』の意味番号を付け、各部の待徴語彙の意味的かたよりを明らかにした結果、各部の文章論的性質がその内容だけではなく、文体論的性格に基づくことが明らかになった。 4 KWICを利用して、おなじ動詞のはだかの形、助動詞タリ・リのついた形、助動詞ツ・ヌのついた形をえらび出し、動詞ごとの標準的な形がどのような形であるかをさぐり、動詞の意味的性質と語形の相関関係を明らかにした。 5 現行の注釈書でことなった訓があたえられ、訓がさまだまっていない表記についてKWICの用例に基づいて用例を検討し、適切な訓を定めることができた。その結果、これまで別語とされていた語彙をおおはばに整理することができた。
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Research Products
(4 results)