2005 Fiscal Year Annual Research Report
近代関西言語における条件表現の変遷原理に関する研究
Project/Area Number |
17520298
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
矢島 正浩 愛知教育大学, 教育学部, 助教授 (00230201)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 敏夫 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (60145646)
揚妻 祐樹 藤女子大学, 文学部, 教授 (40231857)
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Keywords | 近代大阪語 / 落語 / 速記本 / 仮定表現 / タラ・ナラ |
Research Abstract |
本研究は、近代関西言語の条件表現体系を最も合理的に説明する分類基準を解明し、条件表現の使用実態、推移の具体的なさまを整理することを目的とする。その検討の先には、近・現代関西語の文法表現体系の特徴を、標準語との比較において明確にすること、さらには、これまで標準語を対象とした現代日本語文法の諸研究成果を相対化し、把握しなおすことが最終的な狙いとしてある。 その目的の下に行った平成17年度の主な研究成果は、以下のとおりである。 1.明治〜現代関西語研究に供する資料収集。実際に落語録音資料を入手し、32演目について文字化する作業を行った。 2.落語を近代大阪語の研究資料として用いるに当って、その資料的特性を把握しておくために、条件表現の用法、及び助詞ガ・ハ(及びそれに対応する無助詞)の用法を指標として、落語の音声録音資料と速記本との比較という観点から検討を行った。速記本には、一段階前の言語使用を示す面があり、助詞の無標化に関してもその使用が不活発である事実があるなど、書記言語としての特徴を見出せる面があることを指摘した。 3.近代大阪語の順接仮定表現でタラが増加するシステムを把握するために、まず最も適していると考えられる分類基準を提案し、それに基づいてタラの発達の実態を観察、その推移を推し進めた背景について検討した。端的に言えば「話者が主体的に設定を行う」特性が強い場合ほどタラの進出が早い事実があること、また単純なタラへの統合整理ではなく関西語固有の分析的傾向として位置付けられる面があることなどを論じた。
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Research Products
(4 results)