2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17520300
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
江口 泰生 岡山大学, 文学部, 教授 (60203626)
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Keywords | ロシア資料 / 『名語記』 / 佐賀方言戯作資料 / 擬音擬態語 / 文末詞 |
Research Abstract |
本年度は計画の初年度なので、ロシア資料・古辞書に関する資料の収集と個別的な分析を行ない、その成果を主に口頭発表の形で行なった。 まず古辞書関係としては、「『名語記』の語彙」(2005.7岡山大学言語国語国文学会)、「『名語記』のオノマトペ」(2005.8筑紫国語学談話会)で口頭発表した。『名語記』に関して、擬音擬態語が大量に採択される必然性を論じ、鎌倉時代の擬音擬態語の特殊性を述べた。その成果は「鎌倉時代の擬音擬態語と特殊拍」(2006.4予定『筑紫語学論叢II』風間書房)で述べる予定である。擬音擬態語を普通の和語集団と区別し、その形式の特殊性や意味の生じ方などを特殊拍の成立と絡めて論じた。 次にロシア資料に関して、仙台におけるロシア漂流民の資料調査(2005.11)を行なった。これまでは九州薩摩の資料だけであったので、新たな知見を得ることができたが、そのデータ整理・分析までにはいたっていない。 また「九州方言文献二種」(『日本語学』2006.3)で、佐賀戯作資料に出現する文末詞バイとバンがはっきりと使い分けられていることが分かった。更に「幕末佐賀方言の文末表現」(2006.3筑紫国語学談話会)で、元々別語であったものが語形の類似と意味の重なりによって、バイ-バンという組織化が行なわれたことを口頭発表した。今後、タイやカンといった文末詞を纏めて体系化する必要があるが、その際、意味的な観点だけでなく、語形が揃うということも重要な視点であるという主張を含めていきたい。
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