2005 Fiscal Year Annual Research Report
奄美諸島方言と南九州方言における疑似標準語成立過程の対比的研究
Project/Area Number |
17520301
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
町 博光 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (10116668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有元 光彦 山口大学, 教育学部, 助教授 (90232074)
崎村 弘文 久留米大学, 文学部, 教授 (50136826)
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Keywords | バイリンガル / 奄美諸島方言 / 南九州方言 / 鹿児島市喜入町 / 小林市 / 世代間変容 / 疑似標準語 / 変容モデル |
Research Abstract |
今年度の実績として、大きく2点に分けて、報告することができる。 1点目は、奄美諸島方言域で、方言の世代差の確認調査を2度実施し、昨年度までの科学研究費の研究成果報告書『バイリンガルとしてみた奄美諸島方言の位相論的研究』(2005.3)の修正と補足をすることができた。調査地点は、奄美大島笠利町赤木名と鹿児島県大島郡与論町である。50代からの方言崩壊と30代以降の奄美普通語(トン普通語)の成立がつぶさに観察できた。 2点目は、南九州方言の3地点で同様の調査が実施できたことである。以下の3地点で実施した。調査方法等はこれまでの調査と同一である。場面設定をおこない、それぞれロールプレイをしていただいた。 (1)鹿児島市喜入町中名(2)熊本県球磨郡球磨町(3)宮崎県小林市 70代と50代との間で、伝統的方言の崩壊が著しく、30代ではその地域に特有の疑似標準語(からいも普通語と呼んでいる)が成立している。からいも普通語がすでに地域の生活語として存在している。70代以上の老年層は、子にはからいも普通語で話し、孫にはからいも普通語よりもより東京共通語に近い体系で話している。南九州方言でも、確実に3世代分化がおこっていると言える。 方言差の著しい奄美諸島方言域の方が共通語化の進展がはやいと予測していたが、南九州方言においても各世代間の言語変容には著しいものがある。奄美諸島方言と南九州域方言との疑似標準語化の過程には似通った変容モデルが構築されそうである。
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Research Products
(1 results)