2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17520306
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
北原 博雄 聖徳大学, 人文学部, 助教授 (00337776)
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Keywords | アスペクト / 限界性(telicity) / 程度修飾(degree modification) / 副詞 / 動詞句 / 到達動詞(Achievement) |
Research Abstract |
本年度は、主体の位置変化を意味するとされる動詞(「くだる」、「行く」、「到着する」、「出発する」など)の意味論的な特性を明らかにする研究を行った。研究成果は以下の通りである。 主体の位置変化を表すとされる動詞は、経路を表すヲ格句(以下「経路句」と言う)および着点を表すニ格句(以下「着点句」と言う)との共起状況から三分される。経路句と共起しないが着点句と共起する「到着する」のような動詞を着点指向動詞と言い、経路句とも着点句とも共起する「くだる」のような動詞を経路/着点指向動詞と言い、経路句とも着点句とも共起しない「出発する」のような動詞を起点指向動詞と言う。これらの中で経路/着点指向動詞は、経路句と共起するという点で、移動様態動詞(「歩く」、「走る」、「泳ぐ」など)と共通点がある。移動様態動詞は経路句とは共起するが着点句とは共起しないという点で経路指向動詞と呼ぶ。 このような動詞分類は、動詞のテイル形(「くだっている」、「歩いている」のような形式)が述語となる文の意味解釈とかなり相関性を持つ。経路指向性を持つ動詞(経路/着点指向動詞・経路指向動詞)のテイル形が述語となる文は動作継続(progressive)解釈ができるが、着点指向性を持つ動詞はのそれは結果状態(result state)解釈しかできない。 また、経路/着点指向動詞の中には、ニ格句が、動詞のスル形・シタ形では着点解釈しかできないのに、動詞のテイル形では着点解釈の他に方向解釈ができるものもある。これは、経路/着点指向動詞の中にも経路を重視するものとそうでないものとの二類あることを示す。経路指向動詞は、着点句とは共起しないが、方向形式(「駅の方に」、「右方向に」など)を持つ方向句とは共起する。 経路/着点指向動詞はすべて、方向形式の方向句とであれば共起する。しかし、着点指向動詞は、方向形式をとる句と共起できない場合があり、それと共起できても着点解釈される。 以上のことから、経路指向性と方向句との共起可能性は相関するという記述的一般化が導かれる。来年度は、このようなアスペクト的な意味を統語論と関連させて考え、程度句とアスペクトとの意味論的関連を追及していく予定である。
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Research Products
(1 results)