2007 Fiscal Year Annual Research Report
平行的多重構造仮説に基づく統語・意味構造の派生に関する研究
Project/Area Number |
17520318
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
牛江 一裕 Saitama University, 教育学部, 教授 (10134420)
|
Keywords | 文法の拡張 / 擬似関係節 / 言語獲得 / 統語的不確定性 / 分裂文 |
Research Abstract |
本研究の目的は,自然言語の統語構造における平行的多重性の存在を実証的に検証し,そのような構造の多重性自体を明確に捉え,適切な範囲でそれを可能とする文法理論を構築するとともに,その多重性が意味構造とどのように関係するのかを明らかにすることにあった。 今年度は3年計画の最終年度として,さらに関連する理論とデータの収集・整理・検討を続けるとともに,いくつかの構文について文法の拡張という観点からその派生関係を考察した。具体的には,擬似関係節を含め,大きく関係節・分裂文全体を含む大きな構文グループについて,言語獲得過程を通して徐々に発達するにつれて互いに密接な関係を持ちながらそれぞれの特徴を持つに至る,また,言語獲得においてその構文の初期段階で起こったことが,最終的に獲得された大人の文法における様々な部分に影響を及ぼしていることを明らかにした。しかも,そこには基本的なものから派生的な変種へという拡張の関係がある。さらに,言語獲得の過程で先に現れたものが,それより後になって現れたものよりも,最終的に出てくる大人の文法から見れば,必ずしも基本的なものとは限らない,という示唆を与えた。 また,生成文法におけるこれまでの研究の中から,統語構造の不確定性,あるいは統語的なファジーな性質がさまざまに異なる部分で見られることを考察し,それがある性質に基づいて文法が拡張してゆくことに関係していることを,実際に用いられた現代英語の言語資料の詳細な調査に基づいて明確化することを試みた。
|
Research Products
(1 results)