2006 Fiscal Year Annual Research Report
古英語詩の語順決定要因に関する実証的研究および電子コーパスの構築
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17520339
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Research Institution | Fukushima National College of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 敬了 福島工業高等専門学校, コミュニケーション情報学科, 教授 (70254886)
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Keywords | 英語史 / 統語論 / 古英語 / 頭韻詩 / 電子コーパス / 助動詞の語順 / 英語学 / 語順決定要因 |
Research Abstract |
格の消失が語順の固定化(SVO化)につながったとされる定説があるが、格の表示があいまいである節においても語順の多様性が見られる事実は従来の「あいまいさを避ける原理」では十分説明できないことを示している。語順の変化要因の解明の一環として、語順の多様性が見られる節においてどのような語順決定要因が働いているかの解明が必要になる。そこで初期古英語から初期中英語までの各共時的段階における語順決定要因の解明を試みた。古英語は特定の語順が好まれるという点では同質であるが、語順決定要因は異なっており初期古英語ではOVの傾向が強く‘heaviness'の要因は働かない。その後、後期古英語に入り‘heaviness'の作用がみられるが、再び、初期中英語期にはVO化が進みその作用は見られない。このことは表面的な語順の分布は各時期で同じでも、その語順決定要因は変化していることを示している。したがって‘heaviness'は12世紀に基底語順がOVからVOに変化する重要な要因となったものと思われる。本研究の研究意義は特に詩における語順決定要因の解明である。従来の詩に関する統語研究はほとんどなく、少数の研究においても詩の特徴である頭韻の作用は無視されてきた。本研究では詩の文体的影響をほとんど受けない助動詞と非定形動詞補語の語順に着目し、その語順決定要因の解明を試みた。その結果、詩の特徴である頭韻が最も重要な語順決定要因となっていることが判明した。本年度は特に、散文と韻文の関係に関して、散文から韻文に翻訳されたとされる古英語頭韻詩の作品を中心に調査を行うた。その結果、散文における主節は主節として、従属節は従属節としての語順を保持していることが判明した。このことは詩人が散文における主節、従属節等の概念を韻文でも再現しようとし、その枠組みの中で頭韻と語順のパターンを決定したものと思われる。今後、詳細な解明は次年度に進める予定であるが、本年度の調査結果は今後の古英語詩における統語的研究の更なる解明につながるものと思われる。また、さらに電子コーパス構築の分野においても詩の形式を取り入れたコーパスを作成の必要性を示している。
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Research Products
(1 results)