2005 Fiscal Year Annual Research Report
日本語教育における地域語の指導法の開発および教材の作成
Project/Area Number |
17520359
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Ritsumeikan Asia Pacific University |
Principal Investigator |
本田 明子 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋マネジメント学部, 常勤講師 (80331130)
|
Keywords | 方言 / 地域語 / 意識調査 / 共通語 / コミュニケーション / 留学生日本語教育 |
Research Abstract |
本研究は、日本で学ぶ留学生の約半数が関東以外の地域で学ぶ現状をかんがみ、地方で学ぶ日本語学習者に対する日本語教育において、「地域語」をどのように扱うかを考え、必要な指導法と教材を開発することを目的とする。 研究初年に当たる今年度は、地方で学ぶ留学生が「地域語」の習得に対し、どのような意識を持っているか、また、地域語に関するどのようなことばの知識が必要であるかについて調査をおこなった。調査の方法は、アンケートによる意識調査と、留学生と地域住民との会話の録音分析である。会話録音は、現在文字化し、分析を進めている。 アンケートによる意識調査は、大学で学ぶ留学生168名を対象におこない、以下の結果を得、社会言語科学会第16回大会(2005年10月2日)において発表した。 調査対象の留学生(以下「留学生」とする)の35.1%が、日本語での会話の際の問題点として、相手が方言を使うことだと回答していた。また、方言の学習については、「話せるようになりたい」16.1%、「単語だけ使いたい」20.8%、「聞いてわかるようになりたい」40.1%と、何らかの形で学習を必要だと感じている留学生が8割近くを占めた。 こうした留学生の地域語修得に対する態度は次の三つに分類できる。 1 地域語(方言)がわからなかった経験があり、生活上の必要から地域語を学ぶ必要性を感じている。 2 地域語を円滑なコミュニケーションのツールと意識しており、地域の人といい関係を築くために地域語を使うことが有効だと感じている。 3 身につけたい日本語は「共通語」であり、地域語は共通語習得の障害になると考えている。 いずれのタイプの留学生にとっても地域語の学習は必要であると思われ、今後は、会話録音資料をもとに学習が必要な地域語を分析し、具体的な教材を開発するとともに、地域語の使用がコミュニケーションを円滑にすることに役立つかどうか検証をおこないたい。
|