2006 Fiscal Year Annual Research Report
日本人英語学習者の関係代名詞節構文・疑問構文の処理過程の解明に関する研究
Project/Area Number |
17520372
|
Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
大場 浩正 上越教育大学, 学校教育学部, 助教授 (10265069)
|
Keywords | 第二言語習得研究 / オンライン処理 / 関係代名詞節構文 / wh疑問構文 / 長距離wh移動 / 下接の条件 |
Research Abstract |
本研究の目的は,第二言語としての英語の習得過程において,日本人学習者(成人)はどのようなリアルタイム(即時)処理(解析)方略を用いて文の理解を行っているのかを解明することである。特に,本研究は,日本語と生成過程が大きく異なり,そのために学習が比較的困難であると言われている「関係代名詞節構文」と「wh疑問構文」に焦点をあて,これらの構文を理解する反応時間を測定するオンライン実験を用い,英語母語話者との比較を通して第二言語学習者の文処理(解析)過程を明らかにするものである。 第二言語習得研究における英語の「関係代名詞節構文」と「wh疑問構文」の理解に関する研究は,それらの形成過程において用いられるwh移動が第二言語学習者の第一言語に存在するか否かが,英語母語話者と同じ文法を習得し用いているかの決定要因であるかが議論されてきた。Clahsen and Felser(2006)は,Marinis, Roberts, Flelser and Clahsen(2005)らの先行研究などから,(成人)第二言語学習者の言語処理過程において,文理解(解析)時には母語話者と同じように語彙的・意味的手がかりを用いているが,母語話者と異なり統語的な情報を用いることは難しいと述べ,第二言語学習者の統語表示は母語話者の物とは異なることを提案している。先行研究を概観する限り,(他の要因を含めて)同様の結果を示している研究が多いが,これまでの一連のOhbaの研究では文法性判断によるデータからこれらの結果を支持していない。更なる実験によってデータを増やし,調査していく必要性が明らかになった。 今後は更に先行研究の概観を行っていく。また,今年度,計画通り進まなかった実験プログラムの設定を行い,本実験を行う予定である。
|