2006 Fiscal Year Annual Research Report
教師の成長に寄与する外国語授業研究法の開発と重層的授業研究データベースの構築
Project/Area Number |
17520390
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
玉井 健 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (20259641)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 和宏 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (00149618)
吉田 達弘 兵庫教育大学, 言語系教育講座, 准教授 (10240293)
今井 裕之 兵庫教育大学, 言語系教育講座, 准教授 (80247759)
泉 恵美子 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (10388382)
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Keywords | 英語教育 / 教師論 / 教育評価 / 教育調査法 / 人材開発・開発教育 / 教師教育 |
Research Abstract |
研究2年目は初年度に続いて、共同研究と個人研究を並行して行った。特に共同研究は、授業研究のあり方についての基本的概念をさらに発展させるべく、研究方法を中心テーマとしながら月一回のペースで研究会を行い議論を深めた。具体的には、一定の理論的基盤のもとに具体的分析手法を伴った授業研究法とは何かを俎上に上げた。 理論的な中心として特に検討されたのが、ヴィゴツキー、パフーチン、英語教育分野ではラントルフに代表される社会文化理論及びデューイの経験主義的学習理論である。こうした非構造主義的なスタンスをどのように英語教育、特に授業研究に持ち込むかが我々の研究の主眼であることが議論を通して鮮明になってきた。年度後半はオールライトのExploratory practiceの理解と応用法について、吉田、今井の企画した国際学会を機に理解を深めた。Exploratory practiceは個人の授業研究と公共性を結びつけた一つのアプローチとして本データベース制作に少なからぬ影響を与えるものと思われる。 データベースとしては、集録的授業実践記録にではなく、教師の成長の記録としてその過程を様々な角度から複層的に検証し得る構成・形式にすることの重要性がさらに明確にされた。また、その為に映像のみならず、映像に切り取り方、授業の周辺的情報として位置づけられていた観のあった教師のジャーナル(日記)、インタビュー記録等の重要性が検討され、本データベース作成に際しても重要な位置づけを持つものと思われる。 最終年度は、各自の授業研究はそれぞれDVD化されるので、データ構成とその背景概念を具体的に詰めていく段階に至った。現在の研究上の課題として浮き上がってきたのは、複層的な視点で分析を可能にするためには「どのようにデータを組み合わせていけばよいのか」、「それはなぜか」という問題である。昨年度確認された、「見る者に自由な解釈・議論を許すスペースを持たせた、教材的な性質を持つデータベース授業映像」という特徴だけでなく、たとえば教師の授業観が変容していく過程を映し出すといった「過程」をとらえられる資料にするためにはどのようなことをしなければいけないのかを詰めていくことが個々の研究員の課題ととらえられる。 今年度の実績発表としては、吉田と今井がオックスフォード大学(神戸)との提携で授業研究に関する国際学会を企画し、Dick Allright, Van Lierを始めとする研究者を招聘し大きな成果を得た。野村は授業資料集(DVD付き)を出版し、TESOL(シアトル)で教育におけるメディア応用に関するフォーラムを行った。玉井も同学会で授業におけるビデオ資料の内省的使用について発表を行った。今井、泉はそれぞれ関西英語教育学会の英語教育研究に論文を発表している。次年度は、本プロジェクトの最終年度となり、本年度の議論をもとに各自の授業研究データの収録、編集、執筆を行う予定である。
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Research Products
(3 results)