2005 Fiscal Year Annual Research Report
早期英語教育道入期を視野に入れた子供の音声言語発達研究
Project/Area Number |
17520398
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
佐藤 久美子 玉川大学, 文学部, 教授 (60154043)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兼築 清恵 (坂本 清恵) 玉川大学, 文学部, 助教授 (50169588)
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Keywords | 語彙獲得 / 無意味語反復 / ワーキング・メモリー / 音韻ルール / 語彙年齢 / 第二言語 |
Research Abstract |
幼児の語彙獲得には、ワーキング・メモリーにおける音韻ループ、すなわち言語情報を言語リハーサルにより一時的にとどめておく能力が重要な役割を果たしていると言われている。この音韻ループの発達は、語彙を反復する能力と語彙能力(語彙サイズ)によって、ある程度観察可能であると考える。そこで、無意味語反復の課題を通して、外国語の学習の基本となる反復能力の発達過程と母語の音韻ルールの獲得過程を探る。さらに、母語の無意味語反復の誤りデータを分析し、幼児と児童(小学校低・中学年)の母語の音韻ルールの構築過程を確認すると共に、英語を学習した場合における、獲得された母語音韻ルールの英語音声への干渉の程度と反復能力を測ることで、英語学習の適切な開始時期を明らかにすることを目的として、下記の調査を実施した。 日本語を母語とする3-7歳の幼児・児童を対象に、日本語の無意味語反復調査と絵画語彙能力テスト(Picture Vocabulary Test)を行い、以下の結果をみることができた。 日本語において、3,4歳児においては、語彙能力と無意味語反復能力に相関関係がみられ、実年齡による反復の正答率についても、年齢が上がれば反復正答率も上がる。しかし、語彙年齢と実年齢が共に上がっても、5歳になると反復正答率が横ばい状態になる。これは、反復能力と語彙年齢の相関が8歳まで続く、英語圏とは異なる傾向である。日本語の場合に反復能力が落ちるのは、母語の音韻体系がかなりはやく確立し、それが無意味語反復の際に影響を与え、正答率が落ちることに関係する可能性が考えられる。 今後、この無意味語反復の回復時期はいつごろなのか、それが第二言語の導入時期の確定とどのように関係するのかを解明するために、コホート研究として当該調査を続けるとともに、第二言語としての日本語無意味語反復調査と、英語無意味語反復の調査についても行なっていく。
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Research Products
(9 results)