2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17520433
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
三宅 紹宣 Hiroshima University, 大学院・教育学研究科, 教授 (10124091)
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Keywords | 軍制改革 / 幕末期 / 長州藩 / 薩摩藩 / 佐賀藩 / 会津藩 |
Research Abstract |
本年度は,長州藩と佐賀藩を中心とした幕末期諸藩の軍制改革にかかわる史料,とりわけ改革の現実的実施状況の指標となる幕長戦争関係史料の収集を目指し,下記機関の史料調査を実施した。その上で,写真撮影により史料を収集し,解読,分析を行った。さらにコンピューターを使用してデータを入力し,データベース史料を蓄積した。(1)山口県文書館毛利家文庫の文武及び維新の分類項目を中心とした幕末史料・県庁伝来旧藩記録他から、幕長戦争に関わる史料を調査し,史料収集した.主たる史料は,「四境戦争一事」などの戦況報告書,「第二奇兵隊出陣中日記」などの各諸隊の出陣日記,軍夫の動員や兵站の確保に関わる史料などである。これらの史料と,対戦した幕府及び諸藩の史料との比較に基づき,各藩の軍制改革の成果の定着状況を分析した。幕長戦争における長州藩は,藩庁政事堂の統一的指揮のもと,西洋化された軍事力を有効に使用して勝利していることを,「生兵教練書」・「小隊教練書」・「大隊教練書」・「砲隊教練書」・「散兵教練書」など各教練書の分析や,兵士の教育課程の分析により明らかにした。これにより西洋式軍隊とは,兵士に西洋式銃を持たせれば済むような単純なものではなく,小隊運動を体得するまで習熟していなければ効果的なものにならないことを解明した。これに対し幕府直轄軍は長州軍より近代化されていたが,士気が低下し,西洋式戦闘に習熟していなかったために敗退したことを、戦闘場面の実施状況の比較により明らかにした。(2)国立国会図書館関西館幕末の軍事技術にかかわる報告書などから佐賀藩を初めとして諸藩の軍事技術にかかわる基本文献などの調査・収集した。
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Research Products
(4 results)