2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17520434
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
西別府 元日 広島大学, 大学院・文学研究科, 教授 (50136769)
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Keywords | 大宰府 / 宇佐八幡宮 / 小右記 / 相撲人 / 島津荘 / 河上神社文書・武雄神社文書 / 台明寺文書 / 出土文字資料 |
Research Abstract |
本年は、課題研究の初年度として、基礎的資料の収集と主たる研究対象フィールドの選定・検討につとめた。本課題研究における基礎資料としては、(1)在地の歴史事象を反映した古文書、(2)九州の動向を中央貴族が記した記録(日記)、(3)埋蔵文化財調査によって出土する墨書土器・木簡などの文字資料があげられるが、(1)については、『平安遺文』を精査して関係文書を収集するとともに、その史料的定立をはかるために写真版での確認のため、東京や九州各地の資料架蔵機関で史料採訪をおこなった。(2)については『小右記』『御堂関白記』『権記』『後二条師通記』などを精読して、九州関係記事を抽出した。このうち、10世紀末〜11世紀初頭の長保・寛弘年間における宇佐宮と豊前国・大宰府との確執を記録した『小右記』については、国立公文書館・宮内庁書陵部で史料調査を実施し、史料の複写などを依頼し、今後の史料吟味の準備をおこなった。(3)については、所属機関の付属図書館架蔵の埋蔵文化財調査報告書を確認・データー化する一方、近年の新幹線や自動車道の整備で調査が急増している鹿児島県と、九州館内の埋蔵文化財調査報告書を比較的よく架蔵する福岡市埋蔵文化財調査センターを訪問し、必要な文字史料の収集をおこなったが、次年度、これ以外の各県についても随時調査を実施する予定である。 研究対象フィールドの検討については、比較的良質の史料群として知られている大隅国の台明寺文書を利用して、平安時代後期の大隅国府地域(現:霧島市、旧:国分市・隼人町)を候補のひとつに設定して、予備調査を実施した。島津荘の成立や大宰府官人の跳梁など、興味ある事象が浮かびつつあり、次年度にかけて検討していきたい。また、旧来から関心をもっていた豊後国東部地域についても、文献的調査をもとにした成果を、九州・中国・四国の研究者が参加して研究集会で報告するとともに、現地を踏査して、平安末期の豊後国と大宰府・平氏政権との確執について探求した。次年度は対象を増やして、検討したい。
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