2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17520437
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
市村 高男 Kochi University, 教育学部, 教授 (80294817)
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Keywords | 一条氏 / 土佐国幡多荘 / 海運 / 海外貿易 / 加久見氏城館跡 / 港湾 / 石造物 |
Research Abstract |
今年度は、土佐清水市教育委員会の加久見氏居館跡の発掘調査をサポートすることによって、その成果を共有するとともに、加久見氏菩提寺香仏寺跡を中心に濃密に分布する花崗岩製中世石造物の調査を実施し、この地域が中四国で最も濃密な分布地域であることを確認した。文献史料によって、御影石の産出地六甲とその積出港と見られる兵庫は、一条氏の荘園摂津国福原荘に属し、加久見氏の本拠加久見も同じく一条氏領幡多荘以南村の中心であったことが確認され、一条氏や加久見氏が御影石の流通に何らかの関わりを有していたことが明らかになってきた。御影石製石造物の分布調査と港湾調査を兼ねて実施したところ、港湾やその近辺など海岸部ほど分布密度が高く、その輸送が主として海運によるものであったことが明らかになった。 加久見氏の本拠も加久見川を媒介として、越・清水という港湾都市・集落と一体的な関係にあり、以南村南岸部の港湾群を広く抑える加久見氏は、紛れもなく海の領主」であった。土佐一条氏は、加久見氏ら幡多荘沿岸部に多数存在する「海の領主」の組織者となり、豊後水道・瀬戸内海を越えた南の海の世界に乗り出す基盤を獲得したのであった。実際、16世紀前半には、一条房冬が本願寺・和泉堺の商人らと連携して、「唐船」を建造した事実があり、本願寺や京一条氏に「唐物」を贈っているのも、広域的な交易活動の成果の一端を示すものであった。四国の中でも、幡多と南予の宇和郡が最も高密度な貿易陶磁器出土地であるのは、土佐一条氏の活発な海運政策によるところが大きかったということができよう。
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Research Products
(3 results)