2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17520440
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉田 昌彦 九州大学, 大学院比較社会文化研究院, 教授 (10141946)
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Keywords | 学習院 / 天皇 / 浪士 / テロ / 三職 / 一会桑 / 尊皇攘夷 / 王覇論 |
Research Abstract |
1,史料調査及び複写 宮内庁書陵部、内閣文庫、山口県立文書館、東京大学史料編纂所において学習院関係史料、および関連資料の追加調査・複写を行った。その際、宮内庁書陵部においては『伝奏日録』などの幕末朝廷政治機関の記録や『長州雑纂』などをはじめとする長州藩尊攘派の朝廷への入説活動を示す史料の閲覧・複写を行った。また、内閣文庫では、『公武御用雑誌』など幕末期の朝幕関係にかかわる史料、『文久紀事』などの編纂史料の調査・撮影を実施した。 山口県立文書館では、昨年度に引き続き、『密局日常廉書』をはじめとする毛利家文庫の幕末尊攘運動関連史料などを調査し必要箇所の撮影を行った。 2、採集史料の分析 平成17年度収集した史料の分析と、同史料にもとづく日表作成などのデーター処理はほぼ終え、平成18年度に複写した史料の検討を現在、行っているところであるが、今まで得た知見は以下のとおりである。 (1)学習院は、公家の教育機関として19世紀前半に創設されたとされているが、朝廷の学問の場所としての「学問所」は古くからあり、そこも朝廷の「会議室」的用途に使用されていたこと。 (2)尊攘派の朝政壟断後、三職という従前の朝廷の政策決定機関とは異なる群議の場所として、また、それを朝廷の政策形成機関として位置づけることを目的として学習院は設置されたこと。 (3)幕府が武家伝奏という、自己の政策を朝議化ための役職を朝廷内に有していたことに対して、長州藩は自己の政策を朝議化するための朝廷内の機関として学習院を創設・維持・活用しようとしていたこと。
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