2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17520456
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe College |
Principal Investigator |
真栄平 房昭 神戸女学院大学, 文学部, 教授 (50183942)
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Keywords | 琉球 / 近世史 / 朝貢貿易 / 海上交易 / 薬種 |
Research Abstract |
琉球史研究を広くアジア史の中においてとらえるため、その基盤となる交易品の実態解明が必要である。本年度は、『清代中琉関係档案選編』(中国第一歴史档案館)から、琉球船の積載貨物の免税記録「清単」を中心に琉球・中国双方の交易品について分析し、琉球の輸入品の具体的な品目・数量統計化を進めた。主な内容は(1)薬種、(2)繊維衣料(各種の糸・織物類)、(3)唐紙、(4)食品、(5)工芸品(漆器)、(6)日用雑貨(傘・竹細工)、その他に分類される。その中で「薬種」に焦点を絞って輸入状況を明らかにし、数量的な検証を行った。 1.「清単」に見られる主な薬種の具体的効能について、武田科学振興財団杏雨書屋所蔵の本草書を中心に調査し、薬学事典類と照合した。また、薬種・香料類に関する交易品として、琉球産の竜涎香(Ambergris)の新史料を本草書から確認した。琉球から中国、日本向けに輸出された海産物の関連史料の調査を維続的に行い、東アジアの物流構造を明らかにする。 2.琉球王府の「薬種取〆帳」(1856年)をもとに19世紀半ばの輸入状況を明らかにした。 3.幕藩制市場における輸入薬の流通について、大坂道修町の薬種株仲間文書を調査し、「琉球産物」の取引を裏付けることに努めた。その関係史料は解読データ入力作業を進めている。 4.国立公文書館、東京大学史料編纂所、九州大学、国会図書館、琉球大学、沖縄県立図書館等で、近世の貿易関係史料について調査を行った。 以上の成果をふまえて、2006年度は下記の点も含めて研究を継続的に行う予定である。 1.唐薬種をめぐる物流構造について、さらに史料調査と分析を進める。 2.他の輸出入品(唐紙・薩摩紙・琉球産の芭蕉紙など)について調査する。 3.琉球と幕藩制市場を結んだ薩摩の海商(河南家文書)について調査する。
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Research Products
(5 results)