2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17520460
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
吉岡 眞之 国立歴史民俗博物館, 研究部, 教授 (90290858)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井原 今朝男 国立歴史民俗博物館, 研究部, 教授 (20311136)
高橋 一樹 国立歴史民俗博物館, 研究部, 助教授 (80300680)
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Keywords | 禁裏本 / 高松宮家 |
Research Abstract |
本研究の主眼である高松宮家伝来の蔵書群の形成とその性格の解明には、禁裏・宮家・公家・武家・寺社等の蔵書群とその形成過程、およびそれらと高松宮家蔵書群との関連の検討が不可欠である。この観点から今年度は、高松宮家蔵書群の形成の重要な画期である近世前期の公家日記の紙焼写真を購入し、宮廷・公家社会を中心として展開された典籍の書写活動に関する史料を収集した。収集史料の本格的な分析は次年度以降に行う予定であるが、この分析により、近世前期における宮廷を中心とする公家社会の文化的ネットワークのあり方、"知の集積"のプロセスを解明することができると考える。このことについては、平成15年度から開始した国立歴史民俗博物館の共同研究「『高松宮家伝来禁裏本』の基礎研究」(研究代表者:吉岡眞之)において行っている個々の典籍の書誌データの収集とその分析を通じて、一定の見通しを得ており、公家日記の収集と分析は、この見通しを実証するために不可欠の階梯である。 2005年10〜11月に国文学研究資料館と共同で人間文化研究機構連携展示「うたのちから-和歌の時代史-」(展示プロジェクト代表:吉岡眞之)を開催した。この展示においては高松宮家蔵書群を中心に展示したが、展示の一部を割いて、本研究および前記共同研究の成果の一端として禁裏文庫および高松宮家蔵書群の形成過程についての見通しを提示した。これについては本研究の研究協力者・酒井茂幸(国立歴史民俗博物館外来研究員)によって展示図録『うたのちから-和歌の時代史-』(2005年、国立歴史民俗博物館発行)に示されている。この展示の準備過程での研究により、中世後期にさかのぼって禁裏の蔵書の集積過程とその意図を解明することが、高松宮家蔵書群の性格の解明にも重要な影響を及ぼすであろうことが推定されるにいたった。この点の具体化が次年度以降の新たな課題として提起されている。
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Research Products
(6 results)