2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17520460
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
吉岡 眞之 National Museum of Japanese History, 研究部, 教授 (90290858)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井原 今朝男 国立歴史民俗博物館, 研究部, 教授 (20311136)
高橋 一樹 国立歴史民俗博物館, 研究部, 准教授 (80300680)
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Keywords | 高松宮家伝来禁裏本 / 禁裏本 / 有栖川宮家 / 高松宮家 / 東山御文庫 / 古典学 |
Research Abstract |
本研究の対象である高松宮家蔵書群(以下、高松宮本と略称)は、国立歴史民俗博物館所蔵「高松宮家伝来禁裏本」の総体を指している。高松宮本は、かつて禁裏の蔵書群(以下、禁裏本と略称)の一角を占めていた典籍群が中心であり、これらは近世前期を中心に旧有栖川宮家に贈与されたものであるが、贈与の時点で、有栖川宮家旧来の蔵書と禁裏本の区別が不明確になったと見られる。1913年(大正2)、大正天皇第3皇子・宣仁親王が有栖川宮家の祭祀を継承し高松宮の称号を受けたことで、これらの蔵書も高松宮家に継承された。その後、1965年(昭和40)に宮内庁書陵部がこれらの蔵書群を禁裏本と有栖川宮家旧来の蔵書に分類したが、時間的制約があったため、万全の分類にはならなかった。ここでの分類による禁裏本が後に国(文化庁)に譲渡され、さらに国立歴史民俗博物館に移管された。 このように複雑な伝来の経緯をもつ高松宮本については、禁裏本全体との関係のほか、高松宮家旧来の蔵書との区別などの調査・研究が必要である。また旧有栖川宮家から高松宮家に継承されなかった書籍も存在しており、これらを含めて高松宮家蔵書群を検討することが必要である。 本研究では、高松宮本の個別研究を重ねつつ、禁裏本の本体である京都御所東山御文庫本等との関係を追究するとともに、上述のような伝来の経緯を持つ高松宮本の形成過程を追跡した。また他の宮家や公家諸家、さらには金沢藩前田家の蔵書群をはじめとする武家の文庫についても一部検討を加えた。 なお本研究は、内容上密接に関連する二つの共同研究と並行して実施した。すなわち(A)国立歴史民俗博物館共同研究「「高松宮家伝来禁裏本」の基礎研究」(研究代表者:国立歴史民俗博物館教授・吉岡眞之。2003〜2008年)、(B)人間文化研究機構連携研究「中世近世の禁裏の蔵書と古典学の研究-高松宮家伝来禁裏本を中心として-」(研究代表者:同上。2005〜2008年度)がそれである。いずれも高松宮本を研究対象とし、それぞれ異なった視点から研究を行っているが、それぞれの課題の成果は相互に吸収しつつ進めてきた。そのため、本研究の成果についても(B)の成果報告書である「中世近世の禁裏の蔵書と古典学の研究-高松宮家伝来禁裏本を中心として-研究調査報告」1(2007年3月刊)、「同」2(2008年3月刊)に反映されてる。
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Research Products
(4 results)