2008 Fiscal Year Annual Research Report
アルタイ・サヤン渓谷の岩絵銘文調査と古代遊牧民の聖山信仰に関する歴史民俗学的研究
Project/Area Number |
17520473
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大澤 孝 Osaka University, 世界言語研究センター, 准教授 (20263345)
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Keywords | サヤン・アルタイ地方 / 古代テュルク遊牧民 / 岩絵銘文 / モンゴリア / ハンギト・ハット岩絵銘文 / ゴルバルジン岩 / フル・アスガト遺跡 / 新彊ウイグル自治区 |
Research Abstract |
本年度は昨年までの調査対象としてきたアルタイ・サヤン山脈周辺の古代テユルク系遊牧民が作成した岩絵銘文の解読作業を引き続き行った。その上で、今年はサヤン・アルタイ地方の古代テュルク遊牧民の文化と比較するという視点から、モンゴリア中央のハンガイ山脈周辺のフル・アスガゥト遺跡の石槨銘文やハンギト・ハット岩やゴルバルジン岩の岩絵銘文類について、モンゴル考古研究所の研究者とともに、銘文の計測やビデオ・写真により撮影しつつ、解読を行った。また筆者は本課題研究の成果報告の一還として、これまでの岩絵銘文が作成される過程において、古代テュルク系遊牧民がかつて同地方に居住していたスキタイ・フン・サマルート時代の先史遺跡や立石の一部を再利用していることを2008年10月に中国の新彊トルファン博物館主催の国際会議で口頭発表した。その際には、新彊のハミ、バルクル、奇台などの地元の博物館を訪れ、所蔵文物を調査した。また2008年12月にはカザフスタンの首都アスタナ市で西突厥可汗国の歴史文化に関する国際学会がカザフスタンの首都アスタナの大統領府文化センターで開催され、「突厥可汗国初期の首都における聖山崇拝と王権との信仰文化的関連性について」と題した口頭発表を行った。またその際には文化センター博物館の数々の考古遺物や副都であるアルマトイの国家歴史博物館で、先史時代や突厥時代の考古文物を見学できたこと、そしてそこにもサヤン・アルタイ地方の古代テュルク文化との共通性を確認できたことは本テーマ研究を今後、さらに深め発展させてゆくという意味でも大きな収穫となったことを付言しておきたい。
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Research Products
(3 results)