2006 Fiscal Year Annual Research Report
魏晋南北朝における血縁的および地縁的結合の歴史的関係の研究
Project/Area Number |
17520479
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Research Institution | Osaka-city University |
Principal Investigator |
中村 圭爾 大阪市立大学, 事務局, 副学長 (00047383)
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Keywords | 東晋 / 北魏 / 魏晋南北朝 / 血縁的結合 / 地縁的結合 / 百口 / 流民 / 江南 |
Research Abstract |
研究課題である血縁的結合と地縁的結合の関係のあり方について、おもに東晋と北魏に時期を限定して、分析した。血縁的結合の現実の実現形態は家族と姻戚関係であるが、この時期、家族を表現する用語として、「百口」がしばしば使用されることが、史料上確認できる。百口とは一般的に当時の家族員数を概数として表現したものと推測されるが、そうすると当時の家族の規模は単婚小家族ではありえず、非血縁者を含んだものと考えざるを得ない。その非血縁者の由来は不明であるが、地縁的近縁者が少なくなかったと思われる。ところで、この「百口」はその中心人物とみなされる個人の理念や行動にきわめて重大な規制力を有していたことが史料から明確に読み取れる。これは、社会的流動化が進んだこの時期に、新しい血縁的結合が一種の社会規範として発生していることを推測させる。 地縁的結合は基本的には日常生活の場である村落社会のなかで、さまざまな機能を果たしていたと思われる。しかし、当時はより広域の場で地縁的結合が機能していたとみられる。華北から江淮へ4世紀初から断続的に漢族流民の南下がみられたが、かれらは行政区画を機軸とする地縁的結合を維持しつつ移動し、定着したことは確実である。それは日常的関係を行政区画に対応して、拡大し、編制したものといえる。ただ、その結合は、長江から江南へ渡河した集団においては弛緩し、ただ家族形態を維持するのみになる。このような場合、定着先であらたな地縁的結合が発生したであろうことも推測できるが、そこにはすくなからぬ障害が存在したであろう。 当時、巨視的にいえば、血縁的結合は強化の傾向をもち、地縁的結合は拡大の傾向にあるといえる。その両者が相互に影響しあって、混乱した社会に一定の秩序を内在させたといえる。
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Research Products
(1 results)