2006 Fiscal Year Annual Research Report
古代ギリシアにおける公共圏と民主政コード形成の比較文化史的研究
Project/Area Number |
17520496
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橋場 弦 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 助教授 (10212135)
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Keywords | ギリシア / 民主政 / アテナイ / 公共性 / ポリス / 紛争解決 / 訴訟 / 法 |
Research Abstract |
1 前年度に引き続き,古代ギリシア人の公共圏と民主政コードの歴史的形成を跡づける証拠の全体的把握に努めた。今年度は主として古典期アテナイ、およびアテナイと外交関係を取り結んでいた諸ポリスにおける成文法の生成過程を対象とし,前6世紀から4世紀末にかけての碑文史料を読解・分析することに努めた。また前4世紀アテナイにおける紛争解決の様態を考察し,そこにおける市民による公共性の発生過程を,個々の紛争事例に則して,主に法廷弁論を材料として研究した。その結果,アテナイ市民は利害当事者でなくとも紛争解決のため積極的に関与することが期待されていたことが実証された。以上の研究作業のための基礎史料と研究文献を購入することに努め,また基礎史料の収集と整理のためコンピュータを購入し活用した。 2 前項の研究活動の一環として,9月にギリシャ共和国へ調査のため出張した。まずアテネのギリシア教育研究センター(Hellenic Education and Research Center)のアンドロニケ・マクリス博士を訪問し,意見交換と研究のレビューを行った。また同センターの案内で,アッティカ各地における民主政遺跡を調査し,現地でなければ得られない情報を収集した。さらにアテネ碑文博物館(Epigraphical Museum)において前6世紀から4世紀にかけての法典・民会決議の碑文を調査し,転写と解釈に努めた。 3 これまでの研究成果を海外学術雑誌に公開するため,英国ケンブリッジ大学の学術雑誌Proceedings of the Cambridge Philological Society (Cambridge Classical Journal)に論文を投稿し,査読の結果採用され,掲載された。その論文の抜刷を作成するための印刷費を支出した。 4 公共研究を行っている国内研究者との研究打ち合わせのため国内出張旅費を支出した。
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Research Products
(2 results)