2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17520503
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
佐々木 真 駒澤大学, 文学部, 助教授 (70265966)
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Keywords | 近代史 / フランス / 絶対王政 / 軍事 / 王権 / 図像学 |
Research Abstract |
本年度はルイ14世親政期に数多く発行された銅版画のうち、カレンダーの一種であるアルマナを主たる対象として研究を行った。夏にフランスにおいて当該時期のアルマナの発行点数を調査し、そのうちの404点については実際に図像の内容を確認し:た。ここより現在明かとなっていることは以下のことである。 1.ルイ14世親政期には総計で562点、年平均10点程度のアルマナが刊行されており、他の時期の平均値(年2点程度)を大きく上回っている。 2.発行部数(2000部程度)や価格(数リーヴル)より、アルマナは絵画とは異なり、エリート文化の担い手以外にも消費されていた。購入者としては、役人、教師、職人など、カレンダーを必要とするひとびとが想定でき、実生活で使用されたと考えられる。また、発行者はパリに集中していたが、全国規模で流通していた。 3.アルマナは前年の出来事を描写しているものが多く、文字による図像の解説が付されるなど、情報伝達メディアとしての役割を有していた。また、ルイ14世親政期には全体の9割以上が国王やフランス国家、当時の政治的な事件などを題材としてものであり、アルマナは国王イメージの伝達や形成に一定程度関与していたと考えられる。 具体的な図像の内容については現在分析中であるが、ヴェルサイユ宮殿の絵画とは異なる、民衆層の受容を前提とした国王イメージの存在が認められる。 次年度においては、このアルマナの内容分析を行うとともに、建築物などの他のメディアとの比較対象も行うこととする。
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Research Products
(2 results)