2005 Fiscal Year Annual Research Report
中世フランスの住空間の構造と機能に関する歴史考古学的研究
Project/Area Number |
17520507
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
堀越 宏一 東洋大学, 文学部, 教授 (20255194)
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Keywords | 西洋中世史 / 中世ヨーロッパ考古学 / 住居史 / 生活史 |
Research Abstract |
この研究の課題は、6〜15世紀のフランスで建てられた世俗建築物(除、宗教建築物である教会と修道院)を研究対象として、世俗の住空間の構造と機能の実態とその歴史的変遷を解明することである。現存する中世建物と発掘された建物に関する考古学的研究の総括をおこなうと同時に、これらの中世建物に関する古文書史料調査に基づいて、発掘成果と文献資料の二つの方向から、中世住空間の構造と機能を解明する。住居の具体的な対象としては、貴族の住居である城、都市民の住居である町屋、農民の住居である農家という3つが中心となる。 1)城に関して、公的空間であると同時に、城主の住居でもあるというアンビヴァレントな機能と実態を、実例と文献史料に即して明らかにする。2)都市の町屋に関しては、住居であると同時に店舗・倉庫でもある中世商人家屋の分析を通じて、都市内部の住環境全体を明らかにすると同時に、個々の家屋の住空間の機能の解明を研究対象とする。3)農家に関しては、メロヴィング期から15世紀までの南北フランスにおけるさまざまな発掘例や現存する農家の建物の発掘と建築学的研究に基づいて、中世農民の住空間の特質とその発達過程を解明する。 平成17年度では、とりわけ、城と農家に関して多くの研究成果を得ることができた。城に関しては、カーンとジゾールの現地調査が、これらの城砦が11〜12世紀の城砦建築の先端であることを理解させたほか、南仏における中世農村の村落祉の調査を通じて、中世フランス農村の住居の一般的なあり方を観察することができた。住居に関する考古学的分析は、現在のフランス中世史分野における最先端の研究領域のひとつであるにもかかわらず、日本においては、現在に至るまで、主に定住との関連でのみ断片的な紹介が行われているにすぎない。上記の作業を通して、これまでに日本に紹介されてきた以上の、多くの新しい情報が得られたと同時に、個別の3テーマのそれぞれに関して、総合的かつ分析的な成果を得るための情報が得られた。
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Research Products
(1 results)