2006 Fiscal Year Annual Research Report
帝政ロシアにおける「国民」形成の契機としての日露戦争・第一次革命研究
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17520508
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
土屋 好古 日本大学, 文理学部, 教授 (70202182)
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Keywords | 日露戦争 / ロシア第一次革命 / 国民形成(ロシア) / ナショナリズム(ロシア) |
Research Abstract |
本年度は日露戦争期に、自由主義者が戦争の不首尾をロシアにおける国民精神の欠如に見て、それを日本の状況と対比しながら、ロシアにおける立憲政治確立への要求を強めたことを論じた『ロシア史研究』掲載の論文を発表するとともに、日露戦争の国際的共同研究論文集であるブリル出版社刊行のThe Russo-Japanese War in Global PerspectiveにUnsuccessful National Unity : The Russian Home Front in 1904を発表した。これは、戦争の過程で、開戦当初存在したロシアの挙国一致的雰囲気が崩れていく原因を論じたもので、『ロシア史研究』論文の前提をなす議論である。また、前者を補筆改稿したロシア語論文が、サンクト・ペテルブルク大学から発行される論文集に、日露の銃後を比較した英文論文が、Global Oriental社から出版される国際論文集に、それぞれ掲載されることが決定している。このほか、日露戦争期のロシア言論界の分析の一環として、絵入り雑誌『ニーヴァ』の日露戦争関連記事索引作成とその分析(第二編)が、2007年5月に学術雑誌『史叢』に掲載されることも決定している。 史料収集・調査の側面では、ロシア連邦サンクト・ペテルブルク市に所在のサンクト・ペテルブルク国立中央歴史文書館(環ЦГИА СПб)において、日露戦争期のロシア社会史に関する史料の収集にあたった。動員された軍隊が極東へ向かって移動するなかで、性病の蔓延などに関する報告書や、戦争遺児のケアなどに関する史料が入手できたことが主な成果である
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Research Products
(2 results)