2005 Fiscal Year Annual Research Report
イタリアの「国民国家」形成過程における制度と社会に関する総合的研究
Project/Area Number |
17520509
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
北村 暁夫 日本女子大学, 文学部, 助教授 (00186264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池谷 知明 拓殖大学, 政経学部, 助教授 (50261251)
勝田 由美 工学院大学, 工学部, 助教授 (80286666)
小谷 眞男 お茶の水女子大学, 生活科学部, 助教授 (30234777)
柴野 均 信州大学, 人文学部, 教授 (30162639)
高橋 利安 広島修道大学, 法学部, 教授 (50226859)
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Keywords | イタリア / 国民国家 / 自由主義期 / 制度=社会史 / クリスピ / デプレーティス / ザナルデッリ刑法典 / ソチエタ・ウマニタリア |
Research Abstract |
初年度である本年度は、共同研究の参加者(研究代表者、研究分担者7名、研究協力者5名)による会合を3回行った。2005年6月18日(於:日本女子大学目白キャンパス)の研究打ち合わせ会、同年9月23〜24日(於:箱根プリンスホテル)および2006年1月14〜15日(於:大磯プリンスホテル)の研究合宿である。研究打ち合わせ会においては、参加者が分担テーマに関する参考文献(史料と研究文献)のリストを提出し、共同研究を進める上で前提となるべき先行研究を確認する作業を行った。2回にわたる研究合宿では、選挙制度(1882年選挙制度改革)、県知事制度(1865年行政統一法と1888年国家行政組織再編法)、刑法(1889年ザナルデッリ刑法典)、移民法(1888年と1901年)、扶助組織(ソチエタ・ウマニタリア)と社会立法との関わり、都市化と都市改造計画、ヴェリズモ文学と社会問題の発見などのテーマで、参加者による報告が行われた。その結果、(1)近年のイタリアや英米の研究では、自由主義期の国家のあり方が大きく変容した時代としてクリスピ時代(1888年〜1896年)に注目が集まっていたが、実際にはそれに先立つ1880年代前半に国家構造の転換が起きていたこと、(2)議会は単に立法を行っただけではなく、多様な地域利害が議論・調整される場としてエリート層のナショナルな統合を推進する役割を果たしたこと、などが明らかにされた。この成果をふまえて、次年度は1880年代を重要な画期と定めた上で、さまざまな法令の制定過程を明らかにし、そうした法令が地域社会でどのように受容ないし拒絶されたのかを分析する作業を行うことが確認された。最後に、年度初めに作成した文献リストを改訂し、主要な研究文献に簡潔な解説を付すことで参加者の共通理解をいっそう深める作業を行って、年度を締めくくった。
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Research Products
(5 results)