2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17520513
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Research Institution | Osaka University of Economics and Law |
Principal Investigator |
藤本 和貴夫 大阪経済法科大学, 学長 (70029734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
華 立 大阪経済法科大学, 教養部, 教授 (20258081)
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Keywords | ウラジオストク居留民 / 漁業問題 / 森林利権 / 日ソ関係 / 中東路問題 / 末次研究所情報資料 |
Research Abstract |
研究代表者の藤本は、9月にウラジオストクで開かれたThe Eleventh British Universities Siberian Seminar (BUSSS)で「1917年革命後のウラジオストクにおける日本人」について報告、1922年10月に実行された日本軍のシベリア撤兵の結果、ウラジオストクの日本人居留民がすべて帰国したのではなく、700名以上が残留して居留民会の活動が続いたこと、1925年の日ソ基本条約の締結後の漁業問題、森林利権交渉等で、日ソ間の実務的接触の舞台になったのは居留民のいたウラジオストクであったことを強調した。ウラジオストクで刊行されていた邦字紙『浦潮日報』が30年代の始めまで存続していたことが明らかになったことは、居留民の活動が続いていたことの証拠でもある。11月には京都で日ロ極東シンポジウムを開催、ロシア科学アカデミー極東支部歴史研究所のガリャーモヴァ副所長とアフォーニン研究員を招待し、「19世紀から20世紀の極東ロシアと日本の貿易」および「日ソ関係」に関する報告を受けた。 他方、日露・日ソ関係で歴史的に両者が接触してきた重要な地点は中国東北地方である。12月の研究会では、20年代の中国東北地方に関する2つの報告が中国史の専門家から行われた。江夏由樹教授「1920年代中国東北における日本企業の活動-東亜勧業株式会社の歴史を一例として」は中国東北地域・モンゴル各地で「皇産」「蒙地」の民間への払い下げが本格化し、日本政府・経済界がこれらの土地の権利を得るために張作霖らと手を組み、張作霖らも日本からの土地投資を促しつつ利権を自らの掌中に収めようとした。日本の「大陸政策」の一つの根幹をなしたのは、土地だけでなく、さまざまな財が「市場」で自由に取引される仕組みの創設であり、その後、日本政府機関、南満州鉄道、横浜正金銀行などがそれを目指すことになる。西村成雄教授「1929年中東路事件と東北政務委員会-国民政府形成期の外交空間」は、この地域で中東鉄道の管理をめぐってソ連と中国諸政府との対立があり、中国中央政府の対応はこの鉄道をめぐるソ連と中国地方政府の対立を利用して中国統一を進めようとしたというものであった。 2007年2月の研究会での華立教授の報告は、中東路問題にまつわる新聞資料が「前日本末次研究所情報資料」としてアモイ大学に所蔵されているとして、その内容の詳細な報告であった。また協力者トルストグーゾフ氏より、日露戦争後の日露正常化に関するロシア国内の文書館資料の紹介がされた。
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Research Products
(3 results)