2005 Fiscal Year Annual Research Report
弥生時代における初期鉄器の舶載時期とその流通構造の解明
Project/Area Number |
17520520
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
野島 永 広島大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (80379908)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古瀬 清秀 広島大学, 大学院・文学研究科, 教授 (70136018)
竹広 文明 広島大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (60252904)
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Keywords | 考古学 / 鉄 / 流通 / 鋳造鉄斧 |
Research Abstract |
1、今年度は、弥生時代前期あるいは中期に属する遺構から出土した鉄器資料を再確認する作業を行った。弥生時代中期以前と考えられる鉄器資料の抽出、収集を行い、その遺構、共伴遺物の有無など出土状況の調査を行った。2001年度以降の文献検索に一部残務が生じたが、来年度には完了する予定である。 2、鋳造鉄器の観察を行った。とくに広島県および近隣の資料について実測および写真撮影を終了した。一部の鉄器については、X線写真などによって鋳造かどうか実際に確認を行った。その結果、予想以上に大陸起源の鋳造品の破片が含まれていることが判明した。今後、九州地方などの資料の観察と写真撮影等の作業を継続して行っていきたい。また、比較対象となる重要な資料については今後もX線写真などによって確認を行いたい。 3、理化学的分析については、鋳造鉄に含まれる放射性炭素による^<14>C年代測定については未だ不安定な部分が多く、現実的ではないとの見解を知り、今後理化学分析については再検討する余地が生じた。 4、日本列島に流入した初期鉄器の多くは、大陸では農具として大量に生産された規格品やその破片であったと推測されるが、このような鉄製品は後に普及する鉄剣や鉄刀などといった威信財とは異なる別個の互酬的な交換領域をもっていた可能性が高いものと予察した。 5、今年度は、資料観察および写真撮影のための機材(デジタル・カメラ、電子天秤、実測用具類)等を購入し、資料収集、研究推進のための環境整備に努めた。また、経済人類学的視座から、首長制社会における鉄素材や鉄器の普及の現象を解釈するために、参考となる図書の購入を行った。
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Research Products
(4 results)