2005 Fiscal Year Annual Research Report
遺跡調査データーによる微地形復原と考古資料を用いた律令期大坂平野の考古地理研究
Project/Area Number |
17520521
|
Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
木原 克司 鳴門教育大学, 学校教育学部, 教授 (10234329)
|
Keywords | 遺跡調査データ / 微地形復原 / 古代大坂平野 / 歴史的景観 / 考古地理学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、まず第1に現大阪平野全域を対象とし、考古学調査の成果、ボーリング資料および自然・人工の累積沈下量などを用いて律令期の大坂地形図(2万5千分の1)を作成する。第2に当該図をベースマップとして、古代大坂平野の主要集落や寺院の分布、難波京造営後の交通大系、河内平野の洪水対策のために開削された人工水路や大坂平野全域に分布する条里型地割の施行年代等を明らかにすることである。 本年度は、まず現大阪平野東半部の平地部に所在する約240遺跡の概報・報告書等を収集し、それらから得られた7〜8世紀の遺跡の生活面高度ならびに日本建築学会近畿支部編の『大阪地盤図』所収のボーリング柱状図から判定した生活面高度を大阪府発行の1万分の1地形図上に落とし込んだ。さらに、この生活面高度に昭和16年以降の人工沈下量と1200〜1300年間の自然沈下量を加算して7〜8世紀における各地域の標高を復原し、それを基に等高線図を作成し、ベースマップをほぼ完成させた。その結果、かつて梶山彦太郎・市原実の両氏によって想定された縄文海進以降から古墳時代にわたって存在した水域が、7〜8世紀に至っても現大阪市の東北部から東大阪市にかけて広範囲に遺存していたことを明らかにすることができた。ただ、この水域の水深については、かつて実施した大阪市域での研究では4〜5mと推定されたが、江戸時代頃まで池沼が残った東部ではさらに深くなる可能性もあり、水深については水域内のボーリングデーター等の検討をさらに進めて想定する必要がある。18年度には、新たな発掘調査資料により現大阪市域図に若干の修正を加えてベースマップを完成させ、それを基図として第2の研究目的達成のため歴史的景観の復原および考察を進める予定である。
|