2006 Fiscal Year Annual Research Report
新石器時代の生業や環境変化の指標となる島嶼出土イノシシ類の研究
Project/Area Number |
17520527
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Research Institution | Iwaki Junior College |
Principal Investigator |
山崎 京美 いわき短期大学, 幼児教育科, 教授 (60221652)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 秀紀 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (30249908)
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Keywords | 考古学 / 新石器時代 / 縄文時代 / イノシシ / 島嶼 |
Research Abstract |
本年度も昨年度に引き続き、日本の新石器時代に繁栄をもたらした経済基盤の究明を目指して、動物考古学の立場から研究を行った。具体的には、生業や環境変化の指標となる自然分布域外の島嶼(本年度は北海道および伊豆諸島)から出土するイノシシを分析対象として、縄文時代における人間とイノシシとの関わりを島嶼側から評価することである。分析方法としては、島嶼側イノシシのサイズや年齢構成を明らかにするために歯や四肢骨を用いた骨計測学的な定量分析と、歯や骨に残る栄養・健康的痕跡、解体や加工に関連する人為的痕跡、他動物による咬痕などの属性による定性分析を使用した。定性・定量分析をする際には、サンプリングエラーの少ない資料であること、出土量が多いこと、高熱のため灰白色化した焼骨でないことが前提となる。これら基準を元に島嶼側の調査対象遺跡としては、伊豆諸島では大島・下高洞D遺跡および人丈島・倉輪遺跡を選択したが、北海道では焼骨の出土例が多いため、焼骨となっていない噴火湾岸の入江貝塚、有珠善光寺2遺跡、有珠モシリ遺跡を選択した。一方、島嶼部と比較する本州側の遺跡の調査は時間的制約から十分には行えず、わずかに福島県および千葉県で2遺跡しか調査できなかった。なお、これら成果のうちで北海道出土のイノシシについては、他の動物考古学者らの研究成果と合わせて口頭発表(第10回動物考古学研究集会ほか)や論考として公表した。一方、本研究ではヨーロッパの類似事例と比較検討する計画ももっているが、本年内に日本側データが十分蓄積されなかったため、次年度への持ち越しとなった。
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Research Products
(1 results)