2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17520528
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
上野 祥史 国立歴史民俗博物館, 研究部, 助手 (90332121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿子島 功 山形大学, 人文学部, 教授 (00035338)
杉本 憲司 仏教大学, 文学部, 教授 (90079020)
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Keywords | 漢代 / 北方 / 地域間交流 / 歴史地理環境 / 対外戦争と政治史 / 匈奴・鮮卑 / 郡県 |
Research Abstract |
本研究は、漢代において北方異民族と漢民族が交錯する北方境界領域に注目し、環境、生業、政治領域、経済圏、帰属意識(アイデンティティ)といった視点より、当地域での交流の実態を解明し、地域動態を描出することを目的としている。 本年度は、各視点での問題点の整理と共有化に重点を置き、研究会を3回開催し、中国山西省での現地調査をおこなった。具体的な関係性と観念的なイメージを対比しつつ、境界領域における交流の実態把握に努めた。交流を具体的に示す交通路については、文献資料にみえる交易ルート、あるいは戦争時の漢あるいは北方異民族の侵入経路の復元に取り組み、地理環境との比較検討を進めた。また、当該地域の地域区分について、地理環境や生業などからブロックとしての小地域の抽出に取り組むとともに、両世界のマージナルラインの変遷についても検討を進めた。また、漢民族世界の地域集団の核となる城郭の立地や周辺環境を検討し、その指向性や領域認識について検討を進めた。これは盆地を単位とした雁門郡や代郡などの地域内部における、マクロなレベルでの地域間ネットワーク復元への取り組みへの序章と考えている。漢代史研究における、県レベルでの社会の動向を解明への胎動とも位置付けることができよう。また、当地域出土の性格の異なる遺物群を対象として、その生産と流通状況を比較対照することにより、境界領域地域で活動した集団の出自や帰属意識に注目し、地理・政治とは異次元での両世界の境界線のあり方について検討を進めた。
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