2006 Fiscal Year Annual Research Report
AMS炭素14年代測定を利用した東日本縄紋時代前半期の実年代の研究
Project/Area Number |
17520529
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
小林 謙一 国立歴史民俗博物館, 研究部, 助手 (80303296)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松崎 浩之 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (60313194)
坂本 稔 国立歴史民俗博物館, 研究部, 助教授 (60270401)
尾嵜 大真 国立歴史民俗博物館, 研究部, 科研費支援研究員 (20399265)
宮田 桂樹 国立歴史民俗博物館, 研究部, 科研費支援研究員 (70413896)
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Keywords | 考古学 / AMS炭素14年代測定 / 縄紋時代 / 日本 / 縄紋土器 / 韓国:中国:ロシア |
Research Abstract |
1.縄紋時代の始まりは、世界基準の較正曲線が2004年版(IntCal04)に訂正されたことにより、約1万年前以前はこれまでの較正年代よりより正確になった。東京都御殿山遺跡などの草創期の土器付着物・伴出炭化物の測定により、東日本の隆線文の初期の資料で、約15,000年以上前に遡ることが確認できた。特に愛媛県上黒岩遺跡出土炭化材を測定し、調査時にミシガン大学で測定された結果と整合的な年代値を得たことは、隆線文土器期の年代研究に重要な結果となった。 2.縄紋時代早期・前期の資料について、土器付着物の測定を行った。そのうち、富土見市水子貝塚の竪穴住居内出土種子類の測定より、黒浜式古段階の年代をえることができ、約7500〜7000年前と推定できた。同様に山形県の資料で大木4〜6式について約6000年〜5500年前と推定できた。 3.縄紋時代前期・中期の住居覆土の炭化物を多数測定した。このうち、目黒区大橋遺跡の加曽利E式期の竪穴住居や、東京都西東京市下野谷遺跡の中期住居の炭化物で、約6000〜5500年前の年代を測定することができた。また、山梨県梅之木遺跡や千葉県野田貝塚では、住居覆土中の炭化材について、細かな位置情報や層位の密度・共伴貝殻などの状況とともに直接遺構から測定試料を採取した。今後それらの資料を年代測定し、さらに住居内の出土位置毎の細かい年代測定を行うことで、住居の堆積状況や改築のサイクルを年代的に検討できる。 4.福島県井出上ノ原遺跡の発掘調査により、遺物出土状況、層位堆積状況に直接トレースできる種実類・炭化材を多数どっと記録とともに取り上げることができた。遺物では、住居直上層から古墳時代、住居最上層から縄紋後期綱取1式、重複覆土中層から大木10式、複式炉直上から大木9式新の土器が出土しており、長期にわたる堆積が予想されたが、各層位出土炭化材の年代測定により、数百年に及ぶ堆積期間が確認できた。
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Research Products
(6 results)