2005 Fiscal Year Annual Research Report
中・近世アイヌ民族の農耕活動の実態について-発掘された畠跡と種子をもとにして-
Project/Area Number |
17520530
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | History Museum of Hokkaido |
Principal Investigator |
山田 悟郎 北海道開拓記念館, 学芸部, 研究員 (00113473)
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Keywords | 火山灰 / 樽前b軽石 / 駒ヶ岳d火山灰 / 畠跡 / 作物種子 / ^<14>C年代測定 / 近世前半期 / ソバ栽培 |
Research Abstract |
これまでに、虻田町、伊達市、八雲町、森町、七飯町、千歳市、稚内市で17世紀中頃から18世紀初期に噴出した火山灰で埋積された畠跡が発見されている。平成17年度は別海町、北斗市(旧上磯町)、上ノ国町で新たに発見された畠跡の調査を行った。北斗市と上ノ国町の畠跡は、10世紀中頃に降下した白頭山火山灰を切り、1640年に噴出した駒ヶ岳d火山灰によって直接に埋積されたもので、別海町の畠跡は19世紀の加賀屋文書に耕作の記録があるものに該当する。 また、上ノ国町で発掘された畠跡から採取した土壌試料のフローテーション作業を行って得られた浮遊物から、作物種子の発見に勉めたが畑地雑草のアカザ属やタデ属種子が検出されただけで、作物種子は検出されなかった。 平取町イルエカシ遺跡、ピパウシ遺跡で、樽前b軽石で覆われた住居跡内外から出土したオニグルミ、ヒエ、近世の可能性が強い小樽市塩谷3遺跡の土墳から出土したオオムギとソバの^<14>C年代測定を行った。その結果、イルエカシ遺跡のオニグルミカが265±20y.B.P.、ピパウシ遺跡出土のオニグルミが225±20y.B.P.、ヒエが255±20y.B.P.、塩谷3遺跡のオオムギとソバが265±20y.B.P.という実年代値が得られ、全てが近世前半期に位置づけられることが明らかになった。 さらに、平取町と虻田町の協力を得て花粉分析を行った。平取町では町内26個所で樽前b軽石上下で採取した土壌を、虻田町では畠跡が確認された高砂遺跡傍を流れる河川沿いで深掘りして採取した土壌を対象として花粉分析を行った結果、平取町を流れる額平川沿いの河岸段丘上の1個所で樽前b軽石下の土壌からソバ属花粉が検出され、近世前半期にソバを栽培していたことが明らかになった。
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Research Products
(1 results)