2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17520536
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
島津 俊之 和歌山大学, 教育学部, 助教授 (60216075)
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Keywords | 地籍 / 近代日本 / 内務省地理局 / 宮城県 / 奈良県 / 岡山県 / ベルギー / ブリュッセル地理学研究所 |
Research Abstract |
平成17年度は主として基礎的史料の収集を行った。主な調査先は,(1)国立公文書館,(2)国立国会図書館,(3)東京大学史料編纂所,(4)ベルギー王立図書館(Bibliotheque royale de Belgique),(5)ベルギー王宮文書館(Les Archives du Palais royal),(6)宮城県立文書館,(7)岡山県立図書館,(8)岡山大学附属図書館,(9)岡山県立記録資料館である。(1)では公文録・太政類典・公文類聚などから,地籍編製事業の全国的展開についての基本史料を得た。(2)では議会官庁資料室の明治期府県法令集などから,岡山県・宮城県・奈良県(旧堺県・大阪府)における地籍編製事業のローカルな展開に関する多くの府県法令を得た。(3)では渋沢栄一のベルギー王国訪問に関する史料を得た。(4)ではLe Moniteur belge, L'Echo du Parlement belge, Journal de Liege, Le Precurseur, LaMeuseなどの新聞史料から,徳川昭武一行がブリュッセル地理学研究所を訪問したことを示す記述を得るとともに,ブリュッセル地理学研究所の芳名帳(Album)のなかに徳川昭武一行の署名を発見できた。また同研究所の19世紀後半の様子を示すいくつかの同時代史料も得た。(5)では,徳川昭武一行がベルギー王室に提出した書簡を得た。(6)〜(9)では,宮城県および岡山県における地籍編製事業のローカルな展開についての現地史料を数多く得た。全体として多くの有益な新史料を得ることができ,その結果,明治政府の地籍編製事業が渋沢栄一のブリュッセル地理学研究所訪問に端を発し,彼の帰国後に中央集権的に実施されつつも,府県によって実施過程や実施方法にはかなりの差異があるという見通しを立てることができた。また,こうした差異は,地租改正事業の進行の度合いや地方官の個性に基くことが多いという見通しをも得ることができた。
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