2005 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本における地域住民組織と民衆運動の存立形態に関する研究
Project/Area Number |
17520540
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
遠城 明雄 九州大学, 人文科学研究院, 助教授 (00243866)
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Keywords | 近代日本 / 都市空間 / 地域組織 / 場所 / 住民運動 |
Research Abstract |
I 主に以下の三ヶ所で資料の調査と収集を実施した。 (1)北九州市における調査概要。(1)市文書館で旧五市の市会議事録と関係文書の所在状況について調査を行い、残存状況の確認、整理および一部議事録の収集を行った。(2)わかちく史料館(若松区)で1932年に旧若松市で発生した路面電車敷設反対運動に関する史料の所在を確認した。この運動に関してはこれまで新聞記事でしかその内容が確認できていなかったが、地域住民から行政や地域有力者に対して様々な請願や要求が提出されていたことが明らかとなった。(3)北九州市博物館で『安川敬一郎文書』の調査を行った。(4)昭和初期の民衆運動に関する新聞記事の検索とコピーを実施した。1930年〜1931年に北九州地方で発生した電車・電燈料金値下げ運動について、市と市の間の対立と、市内での行政、市会、無産政党、地域住民(町総代)の対立と協同の動きが判明した。 (2)山口県立図書館において新聞資料の調査を行った。特に明治末の米価高騰による「生活難問題」と昭和初期の「生活費軽減運動」に関して、下関市と旧北九州五市に関する新聞記事の検索と複写を実施した。下関市において明治末に「生活難問題」が深刻な社会問題として認識されていたこと、および昭和初期に家賃値下げなどの運動が行われていたことが判明した。 (3)国立国会図書館において下関市関係の資料調査を行った。 II 都市社会事業に関する図書および文献史料を検討して、当時の行政や地域有力者などが民衆運動の温床となりうる「都市下層社会」の生活状況や社会関係などについて、どのような表象をもっていたのかを明らかにした。 III 都市研究、特に欧米の文化・社会地理学についてその研究動向を検討した。その結果、文化と政治の関連、空間スケールの政治性、階級とコミュニティ、都市と農村の対立といった諸問題が、都市民衆運動の性格を理解するうえで重要な論点となっていることが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)