2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17520549
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
橋本 征治 関西大学, 文学部, 教授 (50067633)
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Keywords | 人文地理学 / 農耕文化 / 黒潮ルート / 文化伝播 / 地誌 / 琉球 / 台湾 / フィリピン |
Research Abstract |
2005年8月に台湾調査を実施した。台北等において文献・資料収集を行うとともに、研究協力者と意見・情報交換を行い、台湾での研究基盤の強化に資した。そして、蘭嶼島のタオ(ヤミ)族の根栽農耕について実地調査を行い、タロイモ栽培の現況と、栽培様式や文化についてかなり詳細なモノグラフを描くことができた。また、比較対象として選んだ本島東岸部のパイワン族についても聞き取り調査を行なった。なお、この実地調査は、研究協力者の水田憲志の補佐を得て実施された。2005年11月には「琉球、大和・台湾-黒潮ルートの文化伝播を考える-」と題して講演を行い、2006年1月には「サツマイモの伝播と大航海時代」と題して研究発表を行った。2006年2月には研究協力者の水田憲志と賀納章雄の両名がそれぞれ沖縄県石垣市で農業と文化についての実地調査を行い、一定の成果をあげ、研究代表者に報告を行った。一方、研究代表者は2006年2月から3月にかけて、フィリピンのイモ栽培文化についての実地調査と文献・資料収集を行った。マニラでは地元研究者との意見交換および情報収集を行うとともに文献・資料収集に努め、次年度に向けての有効な手懸かりを得ることができるとともに、一定の協力関係を築くことに成功した。実地調査は、ルソン島北部の山岳州ボントクで行い、稲の二期作、あるいはイネを表作、サツマイモを裏作とする二毛作に特化しているのに対して、タロイモとヤムイモはレリクト作物化してしまっている現状を確認した。したがって、イモ栽培の伝統の復原には儀礼や伝承といった過去を背負った文化事象からのアプローチが必要であることが確認できた。かかる本年度の研究成果は次年度の研究の絞り込みと一層の深化に資するところ大であったいえよう。
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Research Products
(2 results)