2005 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける伝統漁法石干見の保存と活用に関する漁業文化地理学的研究
Project/Area Number |
17520550
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
田和 正孝 関西学院大学, 文学部, 教授 (30217210)
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Keywords | 石干見 / 海垣 / 魚垣 / 保存再生事業 / 石滬 / 石垣島 / 済州島 / 澎湖列島 |
Research Abstract |
東アジアの伝統漁法石干見の保存と活用に関する研究課題を進めるため、以下のような調査・研究を実施した。 2005年6月には、諫早市高来町にある石干見(スクイ)を調査し、漁業活動の写真撮影、ビデオ撮影をおこなった。 2005年7月には石垣島の白保において進められている海垣再生事業の準備状況を確認する目的で、WWFサンゴ礁保護研究センターで聞き取り調査を実施した。あわせて、地元郷土史家、学校教員と石干見研究について情報交換をおこなった。また、水田耕作のために来島した竹富島農業者が構築したとされる西表島東海岸の魚垣の残存状況について、現地調査を実施した。すでに全く利用されておらず、赤土に埋没しているものの、遺構は各所で確認できた。 2005年9月には、宮古島西方に位置する伊良部島に唯一残されている魚垣(カツ)の現状を調査し、所有者から石干見漁業活動全般について聞き取り調査をおこなった。補助漁具についても確認した。以上の調査で得た資料から、「たかが石垣されど石垣-伝統漁とサカナ」を執筆した。 2005年12月には、韓国済州島の石干見の残存状況と実態を調査した。火成岩によって築かれたウォンタムやスンチャンと呼ばれる石干見が、島北部海岸沿いの各地に残されていた。本島には、1990年代の現地報告で明らかになっている以上に多くの石干見が分布していたことが明らかとなった。北西部金寧(キンニョン)里には、湾入部を利用した石干見が比較的原型をとどめていた。 2006年2月には石垣島での「白保海垣復元事業結団式」(於白保公民館)に参加し、「海垣について」と題して講演をおこなうとともに、地元の漁業者、白保魚湧く海保全協会会員などと、海垣の復元・再生に関わる諸問題について討論した。あわせて、大浜地区に残る海垣の状況について現地調査を実施した。 なお、1910年代における台湾澎湖列島の石干見(石滬)の利用に関して執筆した論文は、2006年2月(奥付)に刊行が予定されている。
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Research Products
(4 results)