2007 Fiscal Year Annual Research Report
太平洋島嶼部から来た日本漁船出稼ぎ者における異文化環境下の順応過程に関する研究
Project/Area Number |
17520553
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
風間 計博 University of Tsukuba, 大学院・人文社会科学研究科, 准教授 (70323219)
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Keywords | 出稼ぎ / コミュニケーション / 飲酒 / 解雇 / 順応失敗 / 太平洋島嶼部 / キリバス / 文化人類学 |
Research Abstract |
本研究の対象は、中部太平洋キリバス共和国から日本へ出稼ぎに来て、カツオ漁船乗組員として雇用されているキリバス人である。故郷の島とは全く異なる言葉さえ通じない環境下におかれた出稼ぎ者の身体的所作の変化過程、さらには漁船および港での生活・労働に対する順応過程に関する考察を行うことが本研究の目的である。 キリバスにおいて鹿児島のカツオ漁船で働いていた元乗組員に面談したところ、コミュニケーションの困難さや物の所有観念の差異から、些細な軋轢が日本人漁船員との間に、日常的に生じていたとの知見を得た。また、焼津漁港における調査において、休暇日に日本の港湾でキリバス人が飲酒による問題をしばしば引き起こし、数多くの解雇者が出ていること、その結果、キリバス首都の漁船乗組員養成学校から日本人教員が撤退していることが明らかになった。現在、日本漁船に乗り組むキリバス人の数は減少し、多くがイスラーム教徒で飲酒慣行のないインドネシア人に置換される過程にある。キリバス人の異文化への順応の失敗が積み重なり、キリバス国家にとって重要であった、日本漁船という重要な出稼ぎ先を失いつつあることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)