2007 Fiscal Year Annual Research Report
釣漁業の技術移動にみる漁撈民俗の形成と伝承に関する民俗学的研究
Project/Area Number |
17520555
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
池田 哲夫 Niigata University, 人文社会・教育科学系, 教授 (50313490)
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Keywords | 漁撈技術 / 釣漁業 / 漁民信仰 |
Research Abstract |
本年度は、漁業者や漁具製造者からの聞き書き、文字資料等を中心に調査を進めた。 以下、その概要を報告する。 1.新潟県佐渡、青森県八戸市、宮城県気仙沼市などで漁民や漁具製造・者からの聞き書き及び関係文書などの調査を実施した。 青森県八戸市のイカ釣漁具製造業者が太平洋戦争後多くの実用新案を申請し、その漁具が急速に技術移動した経緯を、イカ釣針製造者とそれを使用した漁民の双方からの聞き書きを通して普及の論理を明らかにし得た。 2.東京海洋大学図書館(羽原文庫)、中央水産研究所図書資料館(旧水産庁水産資料館所)、日本海区水産研究所などの所蔵資料から、水産研究者により1950年代に漁村調査が実施され、そこには民俗学研究者の調査協力があったこと、その調査のための「採集手帳」を作成したことなどを明らかにした。漁村調査では民俗学的手法も加味しながら、漁具・漁法の普及の過程やそれによる効果なども調査対象とされていた。 3.漁民の信仰の対象としての山形県鶴岡市の善寳寺信仰が、漁撈技術の伝播とともにイカ釣の出稼漁民によって佐渡島に伝播し、漁撈習俗として普及した可能性のあることを確認した。これは、技術移動とともに漁撈民俗が形成されるという新たな視点を提供するものでもある。
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Research Products
(2 results)