2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17520568
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Research Institution | Natural History Museum and Institute, Chiba |
Principal Investigator |
黒住 耐二 Natural History Museum and Institute, Chiba, 動物学研究科, 上席研究員 (80250140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筑紫 敏夫 千葉県立中央博物館, 資料管理研究科, 科長 (80291938)
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Keywords | 貝剥き / 東京湾 / バカガイ / あおやぎ / 貝塚 / 剥き身 / サルボオ / 東南アジア |
Research Abstract |
今年度は、アンケートによる東京湾および日本各地の貝剥きの認知度を調査した。また、東京湾との比較を行うために、国内外で現時点での貝剥きの状況を様々な機会に調べた。 アンケートでは、「貝剥き」と漠然とした問いに関しては、東京湾でよく利用されるバカガイ・アサリとともに、ホタテガイやカキ類の情報も寄せられた。内湾域での貝剥きでは、東京湾のみならず、伊勢湾でも、アサリの貝剥きの存在したことがわかった。東京湾周辺の結果では、1)年代的に、ほぼ30才を境に、若い人たちよりはほとんど貝剥きを認識していないこと、2)40年程前には、海浜部のみならず、より内陸の地域でも、魚屋で剥いた貝を量り売りしていたことなども明らかになった。 国内では、サンゴ礁域の沖縄では、二枚貝類のシャコガイ類を特徴的に剥き身として生で利用していることがわかった。そして、シャコガイ類は数千年前の貝塚からも多数出土し、出土した個体には火を受けて焼けた跡が認められず、この時代から剥き身の利用の存在していた可能性が考えられた。国外では、韓国西岸・香港・ベトナム南部で調査を行った。その結果、3地域で生の二枚貝類を剥いていることが確認された。ただ、剥き身に利用されていた貝は、韓国ではイガイ類、香港ではアサリ、ベトナムではサルポオ類とアコヤガイ類であった。この3地域のうち、韓国と香港では、海岸部に多数の「海鮮料理店」が軒を並べる状況にあり、そこではかなり多くの貝類が食用に利用されていた。香港では隣接地域に生息していないと思われたアサリ(中国北部から運ばれてきたものかと推測される)が特殊な用具を用いずに手近かなナイフで剥かれているなど、その地で貝剥き文化の伝統がなく、新たに導入された食様式の可能性も想定された。一方、ベトナムでは東京湾でも剥き身に用いられるサルポオ類と、日本では真珠養殖に利用されるアコヤガイ類が利用されていたことから、日本とは別なルートで貝剥きが生じていた可能性も考えられる。ただ、ベトナムでの貝剥きは、広い市場の中で1箇所でしか見られず、また日本のように剥き身から干し貝にすることも極めて少なく、かなり低頻度のようであった。
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Research Products
(6 results)