2005 Fiscal Year Annual Research Report
法過程における制度と身体の相互作用 -イタリア刑事裁判史料の法人類学的解読-
Project/Area Number |
17530004
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
小谷 眞男 お茶の水女子大学, 生活科学部, 助教授 (30234777)
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Keywords | イタリア / 法過程 / 法多元主義 / 名誉 / ジェンダー / 法人類学 / 身体 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
今年度は、19世紀末〜20世紀初頭の「名誉の事由」に関わるイタリアの刑事裁判事例の訴訟記録を、"法過程分析"の一環として、民事・行政関係史料や関連文献・史料を組み合わせることなどによって立体的に解読する作業に集中した。そのために、イタリアを含む各国の関連文献資料を幅広く収集し、内外の図書や雑誌論文を相互貸借や文献複写サービスを使って取り寄せ、もっぱら上記1次資料の文脈化作業、すなわち法過程における制度と身体の相互作用を明確にするための比較分析を進めるために利用した。とくに身体やエモーションの考察のために、「文化とパーソナリティ」と称される人類学研究の蓄積に取り組み、イタリア語と英語の文献を中心に、その比較文化研究の成果を吸収することに努めた。また、クロス・カルチュラルな問題意識を共有する社会心理学や精神分析学の成果を積極的に取り込み、法多元主義的構造を有するイタリア法空間における名誉(onore)と恥(vergogna)という刑事法文化の基礎的かつ身体的カテゴリーの通文化的位置付けを探った。研究調査旅行については、学内業務の都合で今年度は断念せざるをえなかったが、イタリアの研究者との意見交換は断続的におこなわれた。 本科研費に関わる具体的研究成果としては、イタリア・フランス・ドイツ・スペインの4カ国において、嬰児殺等の名誉犯罪をめぐる刑法典上の関連規定がどのような経緯を辿ったかについて、比較法史分析という方法で整理したものを、単行書の一章として収録する形で発表した。「制度」面での基礎作業として位置づけられる成果であり、ジェンダー論的含意にも富んでいる。 このように、イタリア刑事法過程のダイナミクスの輪郭を、具体的事例を通して法人類学的に解明する作業を進めた。
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Research Products
(1 results)